テラが現在取り組んでいるのは、医薬品の薬事承認に必要な臨床試験だ。政府からのお墨付きがもらえる上に、薬事承認が下り、保険適用の対象となれば、国庫や健康保険組合が治療費を補助することにもなりる。転じて、より一層の普及が期待され、医薬品や医療機器の普及にあたって、重要なマイルストーンにもなる。

その臨床試験の現状はというと、すでに臨床実績は約8900例もある。そのうち治療が難しい膵がんが1700例と最も多くを占めており、テラは現有の抗腫瘍療法では治療が難しく『がんの王様』とまで呼ばれる膵がんの治療法としての保険適用を目指している。

2015年4月には第1相臨床研究が終了し、日本癌学会誌(Cancer Science)にがん細胞に発現するWT1に反応するリンパ球が誘導されることなどが報告された。さらには、副作用が少ないことなども明らかにされ、『樹状細胞ワクチン』の薬事承認への期待が今、高まっている。

iPS細胞の発見により再生医療の実用化への見通しが立ちつつあることや、樹状細胞ワクチンなどの腫瘍免疫療法の実績の蓄積などにより、これまでなかった「細胞を使った治療法」が応用段階に入りつつある。これを受けて薬事法にも「再生医療等製品の特性を踏まえた規制の構築」が設けられた。

バイオ市場には追い風も吹いている様子で期待は膨らむが、頻繁に報告される研究成果に一喜一憂してしまう部分もあるので、専門家と非専門家の情報の非対称性もあることに気をつけながら評価していく必要がありそうだ。(ZUU online 編集部)

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