6月の消費者物価指数(除く生鮮食品)は前年同月比+0.1%となった(コンセンサス0.0%程度)。コンセンサスを上回ったように見えるが、指数が103.4で、2014年6月も103.4であるので、四捨五入の影響が出ているだけで、0.0%にかなり近い結果である。消費税率引き上げの影響を除けば、4、5月も同+0.1%程度であり、停滞してしまっている。

これまでの円安によるコストプッシュの価格転嫁の進展、そして内需が回復していることが、物価の押し上げに働いている。しかし、昨年半ばまでの原油価格の上昇の影響の反動があるため、原油価格が現状程度で推移すると、前年同月比はしばらくほぼゼロ%で推移する可能性が高く、7月には一時的なマイナスとなるリスクが高い。

4月以降の賃金上昇の影響が強くなり、原油価格の下落の影響が剥落していく10-12月期以降は、前年同月比は持ち直すとみられる。しかし、年末までに+0.5%程度まで戻るのが精一杯であると考える。物価上昇が鈍く、賃金の上昇が強くなっていることは、実質賃金の上昇として、消費を拡大させていくと考えられる。賃金上昇による内需の拡大、そして更なる円安が、2016年度末までに物価上昇率を+1.5%程度まで加速させると考える。

しかし、日銀の目標である安定的な2%の到達は困難であろう。日銀は、円安や内需回復の影響が強い食料品の値上げの動きを強調して、物価上昇率が高まってきていると判断している。下落しているエネルギーを含むコアや、食料品が入らないコアコアだけでは物価の基調がとらえられないという見方だろう。しかし、そのような判断が日銀の2%の物価上昇のコミットメントを揺るがすことにならないのは、2%の物価目標は政府・日銀の共同で設定されたものであり、昨年12月の衆議院選挙で自民党が政権公約として2%という具体的な数字を国民に示しているからだ。

7月の東京都区部消費者物価指数(除く生鮮食品)は-0.1%と、6月の+0.1%から下落し、2014年9月以来のマイナスとなった。7月の季節調整済前月比も、エネルギーの下落などにより、-0.1%と弱い。食料品を中心とした新年度入り後の価格上方改定は確認でき、それが継続していると考えられるが、その他の値上げは弱く、2%の物価上昇に向けて日銀が期待していたほど強くはなっていないと考えられる。