企業の採用意欲は引き続き強い
6月の失業率は3.4%と、5月の3.3%から若干上昇した(コンセンサス3.3%程度)。3、4月は労働市場から退出した失業者が増加し、テクニカルに失業率が2月の3.5%から低下していた。5月にはその一部が労働市場に戻ったが、就業者の増加で吸収した。6月にも労働市場に戻る失業者が更に増加し、就業者の増加でのオフセットも堅調に続いたが、失業率は短期的に若干リバウンドした。これまで失業率の低下幅が実体より大きく見えていたが、それが修正されたことになる。
企業の雇用不足感は、製造業と非製造業ともに強まっている。人手不足感を背景とした企業の採用活動も強くなってきている。失業率は自然失業率とみられる3.5%を明確に下回るトレンドが続き、強い総賃金の拡大がデフレ完全脱却の実感につながっていくと考える。
しかし、賃金上昇が物価上昇につながり、それが賃金上昇を更に加速させる形にならなければ、日銀の目標である2%の安定的な物価上昇は困難であると考える。その時の失業率は3%を明確に下回る水準であると考えるが、まだまだ時間がかかるだろう。6月の有効求人倍率は1.19倍と急ピッチに上昇してきた5月から変化はなく、引き続き企業の採用意欲が強いことが確認された。
会田卓司(あいだ・たくじ)
ソシエテジェネラル証券 東京支店 調査部 チーフエコノミスト
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