4-6月期は年率▲2.9%を予測~3四半期ぶりのマイナス成長

2015年4-6月期の実質GDPは、前期比▲0.7%(前期比年率▲2.9%)と3四半期ぶりのマイナス成長になったと推計される。海外経済減速の影響から輸出が4四半期ぶりに減少し、外需寄与度が前期比▲0.5%(年率▲1.9%)と成長率を大きく押し下げたことがマイナス成長の主因である。

住宅投資(前期比2.6%)、公的固定資本形成(前期比3.6%)は高めの伸びとなったが、民間消費が前期比▲0.6%と大きく落ち込んだほか、設備投資も同▲0.2%と小幅ながら減少し、民間在庫もマイナス寄与となったため、国内需要も3四半期ぶりに減少した。

実質GDP成長率への寄与度は、国内需要が▲0.3%(うち民需▲0.5%、公需0.2%)、外需が▲0.5%と予測する。名目GDPは前期比0.1%(前期比年率0.4%)と3四半期連続の増加となり、実質の伸びを大きく上回るだろう。

GDPデフレーターは前年比2.0%(1-3月期:同3.4%)、前期比0.8%(1-3月期:同1.3%)と予測する。国内需要デフレーターは前期比でほぼ横ばいとなったが、原油価格の下落を反映し輸入デフレーターが前期比▲2.4%と1-3月期(前期比▲9.0%)に続き低下したことがGDPデフレーターの押し上げ要因となった。

なお、8/17に内閣府から2015年4-6月期のGDP速報値が発表される際には、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しなどから、成長率が過去に遡って改定される。当研究所では、2015年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率3.9%から同3.6%へと若干下方修正されると予測している。

2015年4-6月期のマイナス成長は1-3月期の高成長の後ということもあるが、そもそも1-3月期の高成長はそれ以前の経済活動の水準が低かったことによるもので、4-6月期の弱さは反動だけでは片づけられない。景気は輸出、消費を中心に実勢として弱い動きになっていると判断される。

4-6月期の数少ない明るい材料は原油価格下落に伴う輸入物価の低下で海外からの所得流入が続いていることである。GDP統計の交易利得は2015年1-3月期には5.9兆円(GDP比1.2%)の大幅改善となったが、当研究所の予測に基づけば4-6月期も3.2兆円(GDP比0.6%)の改善となったとみられる。

4-6月期は交易利得の改善が続く中、国内民需は低調に終わったが、7-9月期は消費者物価上昇率がマイナスに転じる可能性が高く、このことが家計の実質購買力を押し上げ、個人消費を下支えすることが期待される。また、交易条件の改善が企業収益の押し上げに寄与し、設備投資の回復を後押しするだろう。

現時点では、7-9月期は民間消費、設備投資が増加に転じることなどからプラス成長に復帰すると予想しているが、輸出の低迷はしばらく続く公算が大きく、引き続き下振れリスクが高い。