主な需要項目の動向

◆民間消費~4四半期ぶりの減少

民間消費は前期比▲0.6%と4四半期ぶりの減少を予測する。駆け込み需要の反動で大きく落ち込んだ自動車販売台数は、2014年夏頃にいったん下げ止まり、年末にかけては軽自動車の販促活動活発化などから大幅に増加した。

しかし、2015年入り後はその反動から水準を大きく切り下げた後、4月以降は軽自動車税増税の影響もあり低迷が続いている。

また、家計調査の実質消費水準指数(除く住居等、季節調整値)は2014年4-6月期に前期比▲8.2%と急速に落ち込んだ後、7-9月期が同1.2%、10-12月期が同1.3%と持ち直していたが、2015年1-3月期は同0.1%と横ばいにとどまり、4-6月期は同▲1.0%と4四半期ぶりの減少となった。

駆け込み需要の反動がほぼ一巡したにもかかわらず個人消費が低迷しているのは、所得の伸び悩みが続いているためだ。

今春闘で昨年を上回るベースアップが実現したことを受けて所定内給与(基本給)は2015年度入り後若干伸びが高まったが、鉱工業生産の低迷などから所定外給与が減少に転じたため、現金給与総額(一人当たり)の伸びはそれほど高まっていない。

消費税率引き上げの影響一巡に伴い消費者物価上昇率は大きく低下したが、名目賃金が伸び悩んでいるため、実質所得の持ち直しのペースは鈍い。

2015年5月の実質賃金は前年比0.0%と25ヵ月ぶりにマイナス圏を脱したものの、消費税率引き上げの影響で大きく落ち込んだ2014年度入り後と同水準にとどまっている。一人当たり賃金に雇用者数をかけた実質雇用者所得(季節調整値)も依然として増税前の水準を大きく下回っている。

消費増税前後の自動車販売台数

◆住宅投資~駆け込み需要の反動一巡から2四半期連続の増加

住宅投資は前期比2.6%と2四半期連続の増加を予測する。住宅は駆け込み需要の反動を主因として2014年初めから夏頃にかけて大きく落ち込んだが、その後は雇用・所得環境の改善、住宅ローン減税の拡充、住まい給付金、低金利などに支えられ、持ち直しの動きが続いている。

新設住宅着工戸数(季節調整済・年率換算値)は2013年10-12月の102.3万戸から2014年7-9月期には86.1万戸まで落ち込んだが、10-12月期以降は持ち直しが続き、2015年4-6月期には95.3万戸となった。月次ベースでは2015年6月は103.3万戸と2013年12月以来の100万戸台となった。

新設住宅着工戸数の推移