(写真=各社ホームページより)
「已往の諫められざるを悟り、来者の追うべきを知る」
中国にはこんな詩が残されている。「過去の愚はどうしようもない、これからのことは今からでも遅くはない」という意味だ。
グリーは2015年6月期に、子会社株式の評価損などで377億円の特別損失を計上した。決算説明資料を読み解くと、新たに事業基盤を構築しようとしている。その事業基盤は「住まい事業」と「ヘルス系事業」だ。ゲームとはおよそかけ離れた事業への進出、果たして成功するのだろうか。
ミクシィにはモンスト、ガンホーはパズドラ……。グリーは?
グリーは住まい事業について、「M&Aにより事業基盤を強化した」としている。一方でヘルスケア事業については、「事業立ち上げ後、加盟店300店を突破した」としている。2つの事業に投じた金額は不明だが、住まい事業の受注額は1億円と、グリーの売上規模に比べると無視できる金額だ。
本業のゲーム関連事業に焦点をあてると、子会社株式の減損以外は利益を確保している。減損損失として351億円を計上したものの、売上高は924億円に達し、営業利益は202億円である。営業利益を売上高で除した売上高営業利益率は27%にも達する。また本業の儲けを示す指標の1つである営業活動によるキャッシュ・フローは、前年度から40%減少したものの、293億円と高水準を保ち、現預金の期末残高は790億円にもなる。つまり新規事業に投資するための資金が潤沢にあるといえる。
グリーがゲーム業界以外に収益基盤の拡大を求めるのは、ゲームでヒット作品を提供し続けるのが難しいからなのかもしれない。事実、グリーでは最近ヒット作が最近出ていない。同業他社ではミクシィのモンスターストライク、ガンホー・オンライン・エンターテイメントのパズル&ドラゴンズがヒットしている。
単年度でみれば順調そうにみえるグリーだが、ここ数年、売上高、営業利益ともに減収減益が続いている。売上高1582億円、経常利益は819億円を計上した2012年6月期と比較すると、2015年6月期は売上高は42%減、経常利益は69%も減少している。さらに2016年6月期の上半期も減収減益を見込んでいる。収益低下に歯止めをかけられるかどうかも課題だ。