imasia_12260535_S (写真=PIXTA)

REIT市場の下落が止まらない。東証REIT指数の下落は3ヶ月連続となっており、6月15日に付けた高値1,838.49 から、9月9日終値で1,521.98まで下落している。

その主な原因として国内事情と海外事情の2つがある。国内事情とは金利の上昇だ。金利の上昇により投資家の要求利回りも上昇したことで収益価格が下落し始めている。海外事情とはギリシャの債務問題や中国株の下落が続いたことにより、外国人投資家らが売りに転じたことである。

東証REITは外国人投資家が40%近くを占めるため、海外事情の影響は大きい。この下がり続けるREIT市場の中で、今は売り時なのか買い時なのか、今の相場をどう見極めればいいのかを考えていく。


上がり始めた賃料

REIT指数は下がり続けているが、国内不動産市場は悪いニュースばかりではない。2015年7月のオフィスビル空室率は、東京都心部で4.89%と、およそ6年半ぶりに5%を切る低水準となった。それに伴い東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の賃料はじわりと上昇し始めている。賃料反転の目安は空室率が4%台と言われており、これを維持している都心のオフィスビルは今後も賃料上昇が期待できるだろう。

不動産の収益価格を求める計算式のひとつに、収益還元法の1つである直接還元法(純収益÷利回り)がある。

これをもとに計算すると、昨年からの価格上昇は金利が原因で、REITの価格上昇は収益価格を求める際の分母が小さくなっていたことで上昇してきた。分母の利回りが日銀の超低金利政策により下落し続けていったため、分子の純収益が増えなくても収益価格が上昇してきたのだ。


金利と賃料はどちらが影響が大きいのか

では、賃料と金利とではどちらの方がREITにとって与える影響が大きいのであろうか。そこで、(純収益÷利回り)という数式の特徴をもっと深く見てみよう。元々、分母の利回りというのは数パーセント(小数点以下)の数字だ。そのためちょっとした変化が大きく作用する。一方で分子の賃料は小数点以上の数字になるのため、多少変化してもインパクトは少ない。