日本の国債依存度は減少傾向にある

日本の予算を米国の連邦予算に順ずる形してみると、日本の国債依存率は、実はそれほど高くないことがわかる。日本は「60年国債償還ルール」により国債を完全に償還する必要があり、毎年の予算に、国債の利払費だけではなく、償還費も計上している。しかし、他国では国債は継続的に借換されるため、予算に償還費は含まれず、利払費だけ含まれる。

国債償還費(13.3兆円)を差し引くと、歳出総額及び国債の発行額は83.0兆円と23.6兆円となり、国債依存率は38.3%から28.3%に下がる。さらに、日本は一般会計とは別に社会保障の特別会計があり、社会保障の保険料などは一般会計の歳入に含まれず特別会計で別に処理されている。しかし他国では、社会保険料及び保険給付金は政府の一般会計に直接計上されている。

日本の特別会計に計上されている社会保険料などの約37.3兆円を一般会計に含むと、会計総額は120.3兆円となる。保険料などの納付されたものが給付費(年金や健康保険費用など)としてそのまま支払われているとする。その結果、分母(予算総額)が大きくなることにより、日本の国債依存率は19.6%まで下がり、米国の15.6%に近くなる。

また英国の国債依存率も米国に順ずる形で計算すると(地方税が国家予算に計上されていることを修正)、分母(予算歳入総額)が小さくなることにより、13.1%へ上昇する。りんごとりんごをしっかり比較するとその差は5%程度であり、予算の計上の仕方や項目のその他の違い、そして調整がしきれていないことを考慮すれば、ほとんど違いはないといえる。

日本の政府予算をグローバル・スタンダードに順ずる形にすると、国債依存度は米・英とそれほど変わないことがわかった。税収の増加などにより日本の国債依存度は減少傾向にあり、健全化への道を順調に進んでいる。日本の国債依存率は、2009年度の48.5%、そして米国に順ずる形の27.7%から、かなり低下してきている。

予算の計上の仕方や項目の違いを無視して、りんごとみかんを単純に比較してしまい、日本の財政状況が米・英より極端に悪いという誤解を与えてしまうこは適切ではない。

会田卓司(あいだ・たくじ)
ソシエテジェネラル証券 東京支店 調査部 チーフエコノミスト

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