起業家教育
(写真=PIXTA)

日本の子供に対する自治体の教育には、起業家教育が足りていないといわれる。近年の学生へのアンケートでも公務員や大手企業が上位にランクインされるなど、安定志向の学生が多い。ただ皆が公務員やサラリーマンになるでは日本の経済は先細りだ。自治体は起業家育成に力を入れてこなかったのだろうか?


十数年前から国が起業家教育を実施しているが……

実は2007年、経済産業省が「起業家育成促進事業」についての報告書をあげている。2002年から関東甲信越を中心としたモデル自治体の小中学校において起業家育成のモデル授業を始め、2004年には、その対象を全国にまで広げている。

同省の報告によると、その授業内容は、顧客のニーズをつかむ、データ分析をする、新商品を開発する、販売企画を検討するなど、かなり実践的なものが多い。東京や大阪などでは企業と協力して行うなど、かなり本格的だ。実際にこの授業に参加した学生の9割が「とても面白かった」「面白かった」と答えている(2007年 経済産業省「起業家育成促進事業」報告書)。


起業志望者は97年から2012年で半減

文部科学省初等中等教育局の橋田裕専門官は「これからの時代を生きていくためには、『自立』『恊働』『創造』のための力を教育の現場でどう育てていくかが大事」と述べている。つまり起業家マインドを育てることは、想像力、分析力、実行力といった「生きる力」を育てることにもなるといえそうだ。

起業家育成のモデル授業を行っているにもかかわらず、起業家を目指す若者は減っている。1997年に160万人台だったのに対し、2012年にはその数が半減(2014年『中小企業白書』)。

理由としては、起業後の生活が不安定そう、起業のコストや手続きが面倒そう、などが挙げられているが、これは1997年と2012年とを比較して半減する理由になっていない。考えられる要因としては、不況が長く続きすぎ、今の子供たちが低成長が当たり前の時代に生まれ育ってきたこと。リスクより安定志向が定着しすぎているのかもしれない。