教える学校側の能力・経験不足も問題
また学校側の問題も少なくない。教員が忙しすぎて、新しい取り組みをする余裕がない、実際にやろうとしても、教員自身にその経験がないためやり方が分からない、またカリキュラムがない――など要因は多数考えられる。
この点は大きな要素だろう。そもそも起業をしたことのない、安定志向の学校教職員が、子供に起業を教え、マインドセットを変えることができるはずがない。
やはり起業を教えるのは起業家、事業家でないと難しい。そんな懸念からか、近年では新経済連盟が経営者を学校に派遣して講座を開いたり、ジュニアエコノミーカレッジが商工会議所を中心に起業体験プログラムを設けたりしている。
経産省が「起業家教育普及促進事業」予算案に盛り込むが
起業家教育事業の必要性を改めて感じた経済産業省は、ついに今年「起業家教育普及促進事業」を今年度予算案に盛り込んだ。内容は2002年に行ったものが机上の空論の傾向が強かったのに対し、今年度のものは、大学などでビジネスプランコンテストを行ったり、小・中学校と地元の起業家との交流や職場見学をさせたりするなど、より実践的かつ具体的なものになりそうだ。
2002年の計画よりは実践的になりそうとはいえ、行政主導では限界がある。最近では授業で企業とコラボする大学も増えているが、より若い世代、小・中・高校の教育の現場に、もっと民間のノウハウが流れこむ仕組みをつくることが必要だ。国の予算でやるとはいえ、事業の評価基準は、つつがなく施策が済むことであってはいけない。あくまで、起業志望者、起業家の数が増えること。そして起業という道があることを子供たちが1つの選択肢と考える環境をつくることであるべきだ。
「別に起業家にならなくてもいいではないか」という考えもあるだろうが、起業家マインドを育むことは困難な時代を生き抜く力を育てることだと考えれば、話は別だろう。「自分は起業しない」という子供や、「わが子は起業家にならない」という大人が関係ないということでは決してない。なぜなら起業家がリスペクトされる環境があってはじめて、起業志望者は増えるからだ。今後グローバル化がますます進むなかで、自ら考え、分析・実行する、といったいわゆる起業家マインドはますます必要になる。(ZUU online 編集部)
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