2015_1sthalf_fxtop10

早いもので2015年度も既に折り返し地点を過ぎ、2015年も残すところ3カ月となった。4月からこの半年間、為替市場に影響を与えた10大ニュースをランキング形式で取り上げてみた。


10位 FXCM、楽天が買収

1月15日スイス中銀が突如として無制限介入をギブアップし、スイスフランが暴騰した。アルパリは国内法人を早々にたたんで撤退したものの、それ以外ほどんど影響がないかと思われた国内の店頭FX業者の中で、比較的安定感のある存在だったFXCM。米国本国の法人の債務と資金繰りからさっさと国内法人の売却を決め、4月1日からは楽天証券の一部として機能することになった。

現地法人として資本金もしっかり投入し自己資本規制比率も金融庁の方針に従って遵守してきたはずの外資系FX会社が、いとも簡単に国内のエンティティを売却してしまうという状況は、外資系FX業者を利用するユーザーにとってはなかなか辛らつな状況といえる。既存のFXCMユーザーにとっては楽天の傘下に入ったことのほうがよほど安定感を増したことになっているがFX業者選びに一石を投じる出来事であった。

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9位 BOE再度利上げ示唆

2014年のサッカーワールドカップのころから利上げを口にしては引っ込めるという狼少年も顔負けの発言を繰り返すカーニー総裁。またしても利上げを口いしたことで、ポンドは大きく買い上げられることとなった。

中央銀行の総裁というのは金融政策上、市場を欺く発言をしても基本的には批難されない唯一の公的な存在といわれるが、7月にこの発言が再現されて以降、BOEの中では利上げ反対と賛成が真っぷたつの状態で続いており、果たして米国を跳び越してUKだけが利上げに踏み込むことができるのかが依然注目される状況だ。

“頼りにならないボーイフレンド”と評されるカーニー総裁がイニシアチブを発揮して本当に利上げが実現するのかどうかが引き続き市場の関心となっている。


8位 6月 黒田日銀総裁の狙い撃ち口先介入発言

6月10日の東京市場は衆議院財政金融委員会に出席した民主党議員からの質問に答える形での黒田総裁の発言で一気にドル円の急落を招くこととなった。「実質実効レートでここからの円安はありそうにもない」と発言して完全に口先介入を実施。

さらに「永久的な量的・質的緩和は考えていない」「付利金利の引き下げは検討していない」と追加緩和に消極的である旨を訴求してドル円はその後あっけなく2円以上の下落を示現することになったのだ。

同氏の発言は民主党の前原氏から引きだされたものだという説も有力になったが、結局は確信犯的にドル円を押し下げた可能性がきわめて高く、今年一番の口先介入となった。実際ここからドル円上昇の動きはけん制されるようになっており、大きく流れをかえる一撃となったことは間違いない。

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7位 トルコリラ、南アランドなど対ドルで大幅安

5月13日にくりっく365でトルコリラ円が上場されて以降、1万通貨で120円以上のスワップがつくと人気を集め高値で推移した時期もあったトルコリラ。ここへ来て米国の利上げと、地政学リスク、さらに政治的混乱を背景にして現行通貨体制になってからもっとも対ドルで売り込まれている。原油価格の下落と中国の不安定な経済状況の影響を受けた南アランドも大幅下落と更新する状況だ。

特に8月24日のNY株、為替同時暴落時には2つの新興国通貨ともに市場最低の価格を示現しており、すでにスワップ狙いなどのできるような状況ではなくなってしまっている。この状況は米国の利上げが確定するまで続きそうな勢いで、新興国通貨の取引は大きな岐路に立たされることとなった。


6位 原油価格の大幅下落

7月のイラン核開発制限での6カ国合意は、制裁解除となったとから予想通り夏以降原油生産量の増加をもたらし、一旦は戻した原油価格。またしても1バレルあたり40ドルを割る事態となっており、資源国に深刻な影響を及ぼし始めている。レームダック化したオバマのほぼ最後の仕事と言われるこの合意で、原油市場には確実な変化が現れそうだ。

OPECサイドは秋口以降原油価格は上昇に転じるといった強気の見通しと掲げていたが、サウジアラビアは財政的な困難を乗り切るために8月に国債を発行した上、直近では大幅に株式投資から資金を引き上げるなどの措置を講じており、オイルマネーの金融市場からの資金引き上げと投資撤退が色濃くなろうとしている。