◆インプリケーション

本稿では、近年、急速に存在感を増してきた保険ショップや独立系FPに着目し、利用者の特徴について概観するとともに、支持されるようになった背景要因を明らかにすることを試みてきた。

現在のところ、両チャネルに共通する顧客層は従来、各保険会社がメインターゲットとしてきた国内全域に拡がる家族形成期にある民間企業の正規雇用者が中心であり、彼らのニーズに適う第三分野や死亡保障商品の加入につなげているようである。ただし、保険ショップと独立系FPでは、従業員規模の差異や、独立系FPでシニア層が多いなど、利用者像には差異があることも明らかとなった。

保険ショップや独立系FPを利用する消費者は、適切な商品・会社選択に向けて、特定の保険会社に依拠しない独立性や、専門性に担保された情報を求めており、契約手続きに至るまでにも時間をかけて慎重に検討を進める傾向にあるため、両チャネル利用者の加入商品に対する満足度は高く、特に保険ショップでは次回加入時にも同じチャネルの利用を希望する傾向がより高くなっていた。

これらの結果は、これらの独立性の高いチャネルの利用が、今後さらに拡がる可能性が高いことを示している。このことは、保険会社にとって従来とは異なるマーケティングへの取り組みが求められることを意味している。専属チャネルとは異なり、チャネル政策においては一定の制約がかかるなかで、どのように成果につなげていくか、個々の保険会社の今後の取組が注目されるところである。

(*1)保険代理店における店頭窓口での応対や訪問営業を行う代理店使用人を指すものであり、一社専属の「保険会社の営業職員」は含まない。なお、「保険会社の営業職員」は59.4%と、前回調査(68.2%)に比べ8.8pt減少している。
(*2)調査概要は以下のとおり。
・調査対象:全国の20~69歳の男女個人(調査会社登録パネル)
・調査手法および実施時期:インターネット調査(2015年2月実施)
・有効回収数:6,212サンプル(うち直近5年以内の生保加入者1,815サンプル)
(*3)ただし各年でみると、いずれも増加傾向にあり、2013年以降の生命保険加入者に占める割合では、「保険ショップ」は7.1%、「独立系FP」は8.5%となっている。

井上智紀
ニッセイ基礎研究所 生活研究部

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