結果の総括とインプリケーション

◆結果の総括

これまでみてきたとおり、保険ショップ・独立系FPの利用者は、30歳代の既婚子あり層が中心という点では共通しているものの、保険ショップでは中小・中堅企業の正規被用者で、独立系FPでは大企業の正規被用者および50歳代で利用されているなど、利用者の属性にはやや差異がみられた。

また、地域別ではやや差異がみられるものの、総じて規模の大きな都市などに集中しているものではなく、利用者は国内全域に拡がっていることが明らかとなった。

保険ショップ・独立系FPの利用者は、第三分野や死亡保障など、中心的な利用者のライフステージに照らしても違和感のない種類の商品に加入しているものの、保障額の面では、入院給付金日額、死亡保険金額ともに全体に比べ保険ショップでやや高くなっていた。

一方で年間支払保険料については、第三分野では保険ショップ、独立系FPともに全体に比べやや高く、死亡保障では独立系FPで全体および保険ショップに比べ高くなっていたことから、保険ショップと独立系FPでは、独立系FPで50歳代が多いなど前述のとおり利用者属性に差異があることに加えて、提案する商品の内容についても差異があるものと考えられた。

次に加入検討プロセスについてみた結果、保険ショップの利用者は、保障の必要性を認識した際、あるいは、ある程度検討が進んだところで裏付けをとる目的で、日常生活の中で事前に存在を認知している保険ショップの利用を思い立っているのに対し、独立系FPの利用者では、セミナーや家計診断等を通じて存在を認知し、そのまま加入検討に利用するなど、利用の経緯にはやや差異があることが示された。

利用の目的や加入手続きまでの検討期間については、保険ショップ、独立系FPで大きな差異はなく、より適切な情報を求め、慎重に検討を進めているものの、保険ショップが保険の仕組などの基本的な知識を含めて自分で判断するための情報を求めて利用される傾向にあるのに対し、独立系FPは、"自分に適した保険"や"加入している保険の適切さ"といった、いわば回答を求めて利用されている可能性も示唆された。

また、チャネルの選択理由では、保険ショップが他社比較できることや時間的な利便性が挙げられているのに対し、独立系FPでは出向く必要がないことに加えて、担当者の信頼やコンサルティングスキルの面で、保険ショップよりも高く評価されていた。このように、検討プロセスにおいても両チャネルはそれぞれ異なる点があるものの、加入後の満足度については、いずれのチャネルも加入者全体に比べ商品内容の満足度が高くなっていた。

また、チャネルに対する満足度では、加入者全体と大きな差異はみられないものの、次回加入時の再利用意向では、両チャネルとも加入者全体を大きく上回っており、全体と同様、半数以上が態度を保留している独立系FPとは異なり、保険ショップでは4割以上が次回加入時にも利用意向を示す結果となっていた。

これらの結果は、保険ショップや独立系FPが、家族形成期にある顧客層に対して、十分にニーズを汲みとった上で、商品提案や契約につなげており、特に保険ショップでは、より高い水準で消費者の期待に応えていることを示しているものと考えられよう。