同じ言葉でも発する側と受け取る側でとらえる意味が違うことはよくあるが、こと「イクメン」に関しては夫婦間や、メディアと当事者の間に大きな隔たりがある。

「父親が育児や家事をするのは当たり前」

「お風呂に入れるだけで、その後の着替えは妻任せ」(20代主婦、Twitter)
「一緒に昼寝をしたことを子守という」(30代会社員、ブログ)
「ミルクをあげても哺乳瓶は洗わない」(30代公務員、知恵袋)
「おしっこのときだけおむつを替える」(30代主婦、ブログ)
「子どもと遊んでいて自分が夢中になる」(20代主婦、Twitter)
「気が向いたときだけ子どもに構う」(40代主婦、ブログ)

育児、料理、洗濯、掃除などを積極的にこなす「イクメン」や「家事メン」はもともと、少子化対策の一環として男性の育児参加や育児休暇を推奨する中で生まれてきた。現代男性の新たな理想像として数年前からさまざまなメディアで取り上げられているが、ネット上には「嫌いな言葉はイクメン」「イクメン うざい」などの否定的な言葉も多く並ぶ。

「家事、育児を行うのは『イクメン』ではなく『父親』」「そもそも父親が育児や家事をするのは当たり前」との指摘が多く、「イクメン」と名乗ることが「少し手伝った程度で恩着せがましい」「偽イクメン」との印象を与えてしまっているようだ。

その上「自称イクメン」が家庭外に向けてイクメンアピールをし始めると、ますます母親の不満が募る。「まわりに良い父親、良い夫を演出するためにイクメンという言葉を使いたいだけ」「日々、夫婦で育児や家事をしているなら、当たり前のことすぎてイクメンという言葉は出てこない」と批判される。