男性にも広がる「イクメン嫌い」
「イクメン」を苦手とするのは女性だけでない。「自称イクメンって、本当に育児してる? 俺って育児も仕事も頑張っちゃっているんだぜって、自分に酔っている」(ブログ)と指摘する男性がいるほか、「イクメンと言われるのが嫌」(Yahoo!知恵袋)という男性も出てきてしまっている。
30代会社員男性は「育児も家事もバリバリこなすイクメン像」に脅迫めいた意味を感じている。仕事と家事の両立で心身ともに追い詰められ、思うように育児に参加できなくなり、自己嫌悪を感じるまでに至っているという。
メディアの取り上げ方に違和感
こうした「イクメン嫌い」は、メディアでの取り上げ方に対する違和感から始まっているケースが少なくない。「『イクメン』=えらい、みたいな表現が嫌い」(ブログ)とする女性がいるなど「持ち上げすぎ」が目立つようだ。
母親と思われるライターが記したブログでは、イクメンについて「メディアの取り上げ方にもやもやする」とした上で、「(全国紙の記事について)そこにはきれいに片付けられた部屋、整然と置かれたおもちゃ、品数豊富な離乳食、育児疲れなんてなさそうな母親達が並んでいて、『なにこれどこの世界の話?』と思ってしまいました。なんか絵に描いた餅を見せられてるようなそんな気持ち。(中略)おそらく多くの父親達も、この記事に書いてあるようなことをやろうと努力してると思うんですよ。でも勤務時間が長かったりしてできない父親達もいるんじゃなかろうか」「(睡眠時間を削って働きながら子育てする男性を取り上げた女性誌の記事について)ここまでしないとイクメンと名乗れないのか?と、ドン引きしてしまいました」と感想を述べている。
「バリバリ仕事をしてしっかり稼いできてくれるけど、家には早く帰ってきて、家事も育児も進んでやってくれるオシャレでかっこいいパパ」といった理想のイクメン像がメディアでは描かれている。そこには、育児休暇を取得して本腰を入れて家庭に入る、といったイメージはあまり想定されていない。メディアの描く理想と現実とのギャップが大きくなればなるほど、大勢の人が「イクメン」という言葉に共感できなくなっているのである。