株式市場では、大型株、中小型株、新興株、低位株といった名称が使われる。ここではその意味と、投資する上でのメリット・デメリットについて考えたい。
時価総額と流動性の高い大型株
上場銘柄は時価総額や流動性を基準として大型株、中型株、小型株と区分されている。かつては発行済み株式数で分類していた時代があったが、東京証券取引所は10年ほど前から、時価総額や流動性に基づき分類する現在の方式に改めた。東証1部の大型株とは時価総額と流動性が高い100銘柄を指す。
このうち上位30銘柄は「TOPIXコア30」、残り70銘柄は「TOPIXラージ70」と呼ぶ。コア30にはトヨタ自動車 <7203 >、新日鉄住金 <5401> 、武田薬品工業 <4502> 、セブン&アイ・ホールディングス <3382> 、ソフトバンク <9984> などがある。また、ラージ70にはスズキ <7269> 、JFEホールディングス <5411> 、第一三共 <4568> 、イオン <8267> 、ファーストリテイリング <9983> などがある。
電力株では、関西電力 <9503> や中部電力 <9502> がラージ70に含まれる大型株となる。一方、福島第1原子力発電所が爆発し、放射性物質が漏えいした東京電力 <9501> は上位100銘柄に含まれず、中型株「TOPIXミッド400」に分類されている。
大型株は長期投資に向いている
大型株は中小型株に比べて経営が安定している企業が多く、長期投資向きといえる。一方、日本株の代表的な銘柄であるため、その企業の経営状態の良し悪しとは関係なく売買される一面がある。例えば、外国人投資家が運用資金全体に占める日本株比率を下げようとした場合には機械的に売られやすい。
なお、発行株数で大型株を定義していた時代には、大型株は「値動きが悪い」というイメージがあった。「大型株が大相場を出す時は、その相場は天井圏」と考えられていた。
しかし、現在はソフトバンクやファーストリテイリングなど、値がさで値動きの大きい銘柄も含まれている。このため、「大型株は値動きが悪い」という印象は薄れている。