中国も景気減速で「利下げ」を余儀なくされた
中国も「利下げ」を行った。政策金利のうち、1年物貸出金利を25ベーシスポイント引き下げて、4.6%にした。また、銀行の預金準備率も50ベーシスポイント下げて、18%とした。
背景には中国経済の景気減速がある。中国国家統計局が10月19日に発表した統計によれば、中国の第3四半期(7-9月)の国内総生産(GDP)は6.9%と、2009年第1四半期以来の低水準となったのだ。中国当局は、予想をわずかに上回ったことから楽観的な見方をしているが、海外メディアの多くは、中国経済減速の長期化は避けられないと見ているようだ。
海外の識者の間では、中国当局の公式発表は信憑性に欠けるとの意見も根強く、英調査会社キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミストも、「我々は中国が発表するデータを完全には信じていない。その数値よりも、実際には経済がかなり弱まっているという証拠が数多くある」と指摘している。
利下げを実施して景気の下支えを図ろうとするものの、中国経済の60%を支える中小企業の助けにはならず、多くの資金が肥大化した国営企業に流れ込んでいることも忘れるべきではない。
米国も年内に「利上げ」できない可能性
米国の利上げは年内というのがメインシナリオだが、年内利上げに消極的な意見も出てきている。
10月19日、これまで年内の「利上げ」説を支持していた米ニューヨーク連銀総裁のダドリー氏も、伊コリエレ・エコノミア紙に対し、「世界経済の拡大が緩やかなペースにとどまっているという事実を無視するのは、大きな誤り」と述べ、米FRBが利上げを検討するのは時期尚早との見解を明らかにするなど、利上げに対し慎重なスタンスに変わってきている。
実際、多くの投資家もFRBが年内に利上げに踏み切るとは確信はしておらず、CMEグループがフェデラルファンド(FF)金利先物に基づき、算出した10月の利上げ確率は、わずか14%、12月は41%となっている。
驚くべきことにミネアポリス地区連銀のナラヤナ・コチャラコタ総裁は、「FF金利を上げるのではなく、むしろ下げることを検討すべきだ」と述べ、ゼロ金利政策からマイナス金利政策への転換を示唆している。米国が年内に「利上げ」できない可能性も出てきているのだ。