米利上げによる新興国経済へのダメージは必至

米連邦準備理事会(FRB)の年内「利上げ」があれば、新興国経済の減速は一段と深刻になるだろう。

さらに新興国経済を圧迫しそうなのが、米「利上げ」を要因とするマネーの流出だ。通貨安と株安を演出するだけでなく、ドル借り入れの金利負担増も加わり、実体経済をさらに押し下げる可能性がある。

米利上げを見越したマネー流出は、ブラジルなどで一段と活発化しており、もし米国が12月に利上げすれば、世界経済は大きな打撃を受け、一部の新興国では急速な通貨、株価の下落が起きるかもしれない。


超金融緩和時代の「世界利下げ競争」は始まったばかり

世界経済の混迷が続くなか、中央銀行の「利下げ競争」は終わりそうにない。

中国経済の減速がほかの新興国に波及し、世界経済の下振れにつながっており、国際通貨基金(IMF)は、「先進国は緩和的な金融政策スタンスを維持すべきだ」と述べ、新興国経済をさらに冷やしかねない米国の「利上げ」に対し、慎重さを求めている。

米国自身の経済環境も好転しているとはいえず、FRBは「利上げ」などできず、マイナス金利にもとどまらず、QE4まで実施するとの意見も一部にはでてきている。

2007年のサブプライム・ショックを正確に予測して一躍有名になった投資家ピーター・シフ氏は、「FRBが行っていることは、あくまで利上げをするふりだけで、やがて米国経済が誰の目に見ても明らかな形で、本格的な景気後退期に入った時、FRBはQE4に踏み切らざるをえなくなる」と指摘している。

超金融緩和の時代の「世界利下げ競争」はまだまだ始まったばかりだ。(ZUU online 編集部)

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