一筋縄ではいかない保険の窓口販売
保険商品は原則として値引き競争をすることができない。しかし、生命保険会社のプロパー商品ではなく、ドコモ専用の生命保険を開発して販売することや、保険契約者対象のお得な携帯料金プランの提供などの顧客優遇対策が企画される見込みだ。
現状のところ、店頭で契約された保険の保険料は、顧客が保険会社へ支払う態勢だなっているが、将来的には月々の保険料金と携帯料金をドコモからまとめて一括請求できる顧客にとって利便性のあるシステムの構築も検討されている。
しかし、保険販売は一見手軽そうにみえて、一筋縄ではいかない。金融商品販売法などにより多数の規制を受けている商品であるため、顧客とのトラブル防止のためにも販売には細心の注意が必要である。
保険商品の窓口販売といえば、銀行が先行している。銀行での保険商品の窓口販売は2007年に全面解禁され、2014年度の販売総額は過去最高の6兆円にも達した。超低金利の円預金や定期よりも有利なリターンが期待できるため、特に外貨建て保険や一時払い終身保険を中心に人気を集めた。
しかし、保険商品は預金と違って元本が保証される商品ではなく、いざという時に中途解約をしたいと申し出ても、場合によっては解約返戻金が当初の金額を下回ることがある。こういったトラブル事例が銀行でも起きており、販売時にそのリスクが十分に説明されていなかったとして、顧客とのトラブルになるケースもある。特に高齢者への販売の際は通常よりも慎重な取り扱いが必要だ。
販売員のスキルレベルはいかに
保険は消費者契約法にのっとり、いったん契約をしても原則として8日以内であれば申し込みを撤回できるというクーリングオフ制度が適用されている。当然、商品知識に加え、クーリングオフの概要を販売員は十分に理解し、顧客に説明しなければならない。保険販売は、販売員に法令順守の精神と、十分な説明スキルという高い能力が求められる業務。金融のプロであるはずの銀行員による販売であるにもかかわらず、保険販売には数々の課題が存在しているなか、携帯電話会社の窓口で十分な商品説明と顧客の納得が得られるのかというところはいまだ未知数だ。
現時点でのドコモの窓口販売における提携先は日本生命の1社だが、ゆくゆくは複数の生命保険会社の商品から保険商品を選べる、いわゆる保険ショップの役割も兼ね備える店舗に拡大することが想定されている。
携帯ショップで保険も契約できると考えれば便利ではあるが、その反面、失われるものもある。まだ計画が発表されたばかりで、日生が教育など人材面でのサポートをするとのことだが、ドコモショップ内のカウンターで保険を販売するスタッフのレベルがどれほどのものかは、しっかりと見極める必要があるだろう。 (ZUU online 編集部)