シングルファーザー
(写真=PIXTA)

現在、日本国内にシングルファーザーがどれくらいいるかご存じだろうか。総務省統計研修所が発表した「シングル・ファーザーの最近の状況」によると、シングルファーザー総数は20万4192人とされている(2010年データ)。一方で、シングルマザーは約108万2000人。シングルファーザーの約5倍。ちなみに離婚後に妻が子どもの親権者となる件数は、夫が親権を持つケースの約6倍だ。「一人で子育て」といえばまずいわゆる「シンママ」、シングルマザーを思い浮かべてしまうのには、こういった背景があるのだろう。

ひとり親家庭には、各種手当や育児・医療に対する助成金など、国や地方自治体からの支援制度があるが、「シングルマザーはシングルファーザーに比べて経済的に苦境にあることが多い」として、これらの制度は母子世帯を中心に構成されている。思うような支援を受けられずに困窮している父子世帯は多い。


公的支援制度に明確な格差が存在

たとえば、ひとり親家庭の福祉について定められた「母子及び寡婦福祉法」では、未成年(20歳未満)の子どもがいるひとり親家庭を「母子家庭等」としている。子どもが20歳を超えると「母子家庭」「父子家庭」ではなくなるが、シングルマザーは「寡婦」として引き続き支援を受けられる。ところがシングルファーザーだった男性は支援の対象から外されてしまう。

そもそも同法は、母子家庭の定義に「等」を付け加えて父子家庭を含ませているが、「シングルマザーのために制定された法に便宜上シングルファーザーの項目を付け加えた」とも受け取れる表現だ。母子家庭支援という目線からしか見ていない制度では、父子家庭だからこそ起こりうる問題点を明確にとらえることができないのではないか。

また児童扶養手当は2010年7月までは母子家庭にのみ支給されていた。それまでは「父子世帯は経済的に困窮していない」とされ、父子家庭は支給対象から排除されていたのだ。しかし、「男性差別ではないか」という批判の声も高まり、ようやく父子家庭の排除の問題を解消した改正児童扶養手当法が成立、2010年8月よりシングルファーザーの家庭にも児童扶養手当が支給されている。