シンママ家庭より厳しい環境が多いシングルファーザー家庭

独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、母子世帯の母親の就業所得平均額は236万1000円、父子世帯の父親は376万5000円となっている(「第3回(2014)子育て世帯全国調査」のよる)

この数字からは、たしかに父子世帯のほうが経済的に余裕があるように見えるが、果たしてその生活の実態はどうなのだろうか。シングルファーザーが抱える悩みや問題は、シングルマザーとどのような違いがあるのだろうか。

同調査の父子世帯の父親の有業率をみると、2011年には94.5%、2012年には96.8%だったものが、2014年調査では88.2%に下がっている。これはシングルファーザーは長時間勤務の仕事を続けにくいという実情と関係があるのかもしれない。

「離婚後も仕事を続けたいが、子育てとの両立がままならない」から、「会社を辞めて時間的に余裕のある仕事を探すが見つからない」となって、挙句の果てに「無職の状態が続く」という悪い流れが透けて見える。

実際、父子世帯の就業所得平均額が低下した原因の1つには、無業のシングルファーザーの増加がある。

シングルファーザーは子どもと一緒に過ごす時間が短いという調査結果も出ている。「平日に2時間以上一緒に過ごしている」と答えた母子世帯が81.9%であるのに対し、父子世帯では65.5%となっている。経済的な事情から長時間勤務を続けてしまうことによって、子どもとのコミュニケーションの時間が奪われてしまっているのだ。

さらに気になる結果がある。小学生以上の子どもがいる世帯のうち、いずれかの子が不登校の経験がある世帯の割合は、ふたり親世帯では4.3%、母子世帯では9.1%であるのに対し、父子世帯では19.0%だ。親子のコミュニケーション不足と子どもの不登校との関連性は薄くないのではないだろうか。


ステレオタイプからの脱却

シングルファーザーが家庭の悩みを抱えていても、相談する場所や相手がなかなか見つからないのが現状だ。そのためストレスを溜め込んでしまい、結果的に身体や心に影響が出てしまうケースも見られる。できるだけ早い時期にメンタルのケアも含めた環境整備が必要だ。

最近では、シングルファーザーたちがグループ・団体を立ち上げてお互いの親睦を深めたり、彼らを支援するための団体が設立されるといった動きが見られている。特定非営利活動法人(NPO法人)ファザーリング・ジャパンでは、講演会やセミナー、父子家庭支援のフレンチトースト基金などの事業を通し、父子家庭を応援している。そういったつながりをもつことで、悩みの解決につながることもあるだろう。

「子育ては女性がするもの」という固定観念は明確に存在し、さらに「シンママは可哀想」という発想から、「男性は稼げる(から子育てはできる)」という思い込みがあるのではないだろうか。いや、そもそも「シングルファーザー」という存在すら念頭にないという人もいるかもしれない。

そういった先入観や偏見が彼らの生活を不便なものにしてきたのかもしれない。身近にいるシングルファーザーの相談に乗ってみるなど、誰にでもできそうな小さな支援はあるはずだ。周りの人間が少しずつ意識を変えることが、事態の好転へとつながるのではないだろうか。 (ZUU online 編集部)

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