不動産経営
(写真=PIXTA)

社会人として住むなら都心か地方都市か。これは個人の価値観によって分かれる。どちらも正解とも不正解とも言えないだろう。同じような議論が不動産投資にもあるとしたら、どう考えるだろうか。不動産投資をするなら都心か地方都市か。今回はこんな疑問に対して考察してみよう。

プロの投資行動とはどのようなものか

まず、不動産投資のプロはどのような投資行動をするのだろうか。不動産投資のプロといえば、REITのアセットマネージャーが一例として挙げられるだろう。このアセットマネージャーという人たちは何をしているかというと、メインの仕事は賃貸物件の購入だ。REITは投資家からお金が集まってくるが、そのお金を不動産に投資して賃料収入から株主への配当を行っている。そのため、投資家からお金が集まれば運用先の物件を購入していかなければならない。REITのアセットマネージャーたちは、ほぼ1年を通して物件の購入検討を行っている。

REITを拡大していくために、アセットマネージャーは物件を購入しなければならない使命を負っている。そのため購入意欲が非常に高く、彼らの元には様々な不動産業者から物件情報が毎日のように持ち込まれる。不動産業者からすると購入意欲が高い人たちに物件情報を持っていけば成約に繋がりやすく、仲介手数料が取れるからだ。特に住宅系REITは物件数がかなり多く集まり、毎週100物件以上の物件情報が検討されている。しかしながらほとんどの物件はREITの目線に合わないため、購入が見送られている。

プロの基本は都内が優先

このように、膨大な数の物件の購入検討を行っているアセットマネージャーだが、彼らは基本的に都内の物件を優先的に購入する傾向にある。理由としては、都内の物件の方が空室リスクや賃料下落リスクが低いため、REITの物件構成の中で都内物件の数が多いほど、投資家の評価が高くなるからだ。

しかし、ここで1つ問題が生じる。都内物件は空室リスクや賃料下落リスクが低いが、人気があり価格が高く、利回りは低い。REITは投資家への配当を行わなければならないため、無尽蔵に利回りの低い都内の物件を買い続けるわけにはいかない。そこで、利回りの高い地方都市の物件もブレンドすることで、REIT全体の利回りを一定以上の数字に保っている。そのため、ほとんどのREITは都内の物件と地方都市の物件を併せ持って運用を行っているのだ。