地方都市の物件はリスクが高い

アセットマネージャーたちのこのような投資行動を見ると、REIT全体の利回りを維持するため、仕方なく地方都市の物件を購入しているという消極的な姿勢がうかがえる。つまり、都内の物件は利回りが低くて地方都市の物件は利回りが高いが、一方で都内の物件はリスクが低くて地方都市の物件はリスクが高いということだ。これが投資家からお金を預かって運用しているいわゆるプロの考え方となる。そのため利回りが高いからといっていきなり地方都市の物件に飛びつく個人投資家は、不動産業者の「いい鴨」なのだ。

一般論としてハイリスクハイリターンの投資をしたいという人は地方都市がお勧めで、ローリスクローリターンの投資を好む人は都内の物件の方が向いている。ただし、物件のリスクは、必ずしも立地だけで決まるものではない。築年数や建物の維持管理の状況、建物仕様、設備の更新状況などによっても異なる。例えば、都内の物件でも築30年以上の木造アパートならば投資リスクは高い。このような物件ならば、地方都市の新築物件と利回りが逆転するパターンも十分にあり得る。

地方都市への投資では地元の人しか知らない一等地など特殊な土地勘が必要で、地元の人間でしかできない不動産投資という醍醐味がある。例えば駅から離れているため、東京のプロには一等地に思えない土地が、実はその地域の人たちの中では昔からの一等地だったということもある。逆に東京のプロが一等地だと思って購入した不動産が、地元の人から見れば不人気なエリアだったというケースもある。地方都市でも一等地というのは存在し、そこへの不動産投資ならば、必ずしもリスクが高いとは言えないだろう。

「いいカモ」にならないために

ここまで不動産投資をするなら都内か地方都市かを見てきた。不動産投資に失敗してしまう個人投資家も多いが、そのほとんどのケースが、経験が浅いためプロが手を出さないような物件を引いているためと考えられる。

一方で、REITのように結果を出し続けている投資家も存在する。彼らはプロだから当然と思われるかもしれないが、アセットマネージャーたちは都内の物件に優先的に投資するという基本を忠実に守り抜いている。それ故に結果を出し続けているのだ。

これから投資を始めるのならば、情報には惑わされずに、まずは都心部の物件からの投資をお勧めしたい。慣れてきたら、ポートフォリオの利回りを上げるために地方都市の物件にチャレンジしてみるのもいいだろう。 (ZUU online 編集部)