自転車をこぐ女性
(写真=PIXTA)

ここ数年、健康志向が高まる中、通勤や通学で自転車を利用する人が増えている。一方で自転車による事故も増えており、ケースによっては数千万円の高額賠償を求められることもある。このような背景から今、注目されているのが「自転車保険」である。


自転車保険とは

自転車保険とは通勤・通学やショッピングなど日常生活で自転車を使用する人が自転車乗用中、次のようなことが起きたときに補償される保険商品である。

①他人にけがを負わせた、または他人の財産に損害を与え、損害賠償責任が発生した
②自分がけがをしたため治療費が必要となった、または死亡した
③自分の自転車が壊れたため修理や買い替えが必要となった

②・③については仕事中の事故も補償されることもあるが、通勤途中の事故について①が補償されるかどうかは場合による。事故発生時には加入している(する)保険会社に確認が必要となる


高額賠償になったケースは?

自転車は道路交通法上、自動車と同じ「車両」となるので過失割合なども考慮され、賠償額も自動車と同じ基準で算定される。実際に高額賠償となった例をみてみよう。

〈賠償例ケース①〉
男子小学生(11歳)が夜間、帰宅途中に自転車で走行中、歩行中の女性(62歳)と正面衝突。女性は頭蓋骨骨折の傷害を負い、意識が戻らない状態となった。男子小学生の保護者に9521万円の支払いを命ずる判決が下った(神戸地方裁判所、2013年7月4日判決)

〈賠償例ケース②〉
男性が昼間、信号表示を無視して高速度で交差点に進入、青信号で横断歩道を横断中の女性(55歳)と衝突。女性は頭蓋内損傷等で11日後に死亡した。男性に5438万円の支払いが命じられた(東京地方裁判所、2007年4月11日判決)

いずれも数千万円の高額賠償となっており、加害者が支払えない場合差し押さえや自己破産に追い込まれる可能性もある。そこで企業や学校では通勤・通学時に自転車を利用する人に賠償責任保険の加入を義務付けるところも出てきた。兵庫県では、2015年4月1日自転車購入者に対して賠償責任保険への加入を義務とする条例案を施行し、10月1日から義務化されている。