自転車保険に加入する前に、確認すべきこと

こうした事例を見ると今すぐにでも自転車保険に加入しておこうと思う人もいるだろうが、まずは現在加入している保険を確認してほしい。火災保険や自動車保険などにすでに自転車事故もカバーする特約として「個人賠償責任保険」に加入している可能性があるためだ。もし「個人賠償責任保険」に加入しているのなら、自転車乗用中他人にけがを負わせた、または他人の財産に損害を与えた場合に賠償責任義務を果たせる。特約がセットとなっているケースがあるのは以下のような保険である。

・自動車保険
・火災保険
・傷害保険
・マンション共用保険
・カード保険


一家に一つは加入しておきたい「個人賠償責任保険」

「個人賠償責任保険」は自転車事故だけでなく、買い物時に展示商品を誤って壊した場合や、飼い犬が他人に噛みついてけがを負わせた場合など日常生活における多くの場面で補償されるので、一家に一つは加入しておきたい保険である。ただ、法律違反、故意、飲酒などによる事故については保険が適用されない可能性も大きいので注意が必要だ。また日常生活における事故のみの補償となるため業務中の事故は補償されない。業務として自転車を使用する場合の補償は個人賠償責任保険ではなく、「施設賠償責任保険」となる。

賠償責任については実費損害額までの補てんとなるため、重複して契約していても二重に支払われることはない。すでに契約をしていないか、加入していたら最高補償額はいくらかを確認して無駄な保険料を支払わないように注意することも大切である。対象となっているのは本人だけなのか家族全員なのかもチェックすべきである。


自転車保険のチェックポイント

「個人賠償責任保険」への加入の有無に加え、示談交渉付帯の有無や自分のけが・死亡に対する補償もチェックしておきたい。

補償の範囲や賠償額などについては専門的な知識が必要となる。直接相手や相手の弁護士などと交渉するのは精神的に負担が大きく、また日常生活にも支障をきたす恐れも出てくる。ぜひ「示談交渉サービス」が付いているものを選びたい。

自転車乗用中の事故に際して自分のけがや死亡の補償についてだが、これは自転車保険に加入すれば基本的に支払われるが、過度に多すぎても保険料の無駄となる。加入済の傷害保険や交通傷害保険の補償内容を確認した上で判断しよう。自分の自転車の損害についての補償は保険会社が引き受けしないことも多く、引き受けたとしても保険料が大変高額になるので注意したい。


保険料は月額いくらか

自転車保険の特徴は、賠償も傷害も両方ついていることと、事故や故障などで自力走行ができない場合に希望する場所まで搬送してくれる「ロードサービス」が付いている商品もあることである(距離や回数などの制限あり)。ネットで手軽に加入できて月額は350円から500円ぐらいのものが多い。

また、すでに傷害保険に加入しており、自身のけがや死亡についての補償はしっかり確保されているのであれば、自動車保険などの特約で賠償部分のみとして加入すれば月額150円から200円程度で十分な補償が得られる。

健康に家計に、そして環境にもとても魅力ある移動手段である自転車。使用する頻度や用途に応じて、また現在加入済の商品を把握し効率的かつ十分な補償を手に入れ、安心の自転車ライフを楽しんでほしい。

小野みゆき 中高年女性のお金のホームドクター・社会保険労務士・CFP
企業で労務、健康・厚生年金保険手続き業務を経験した後、司法書士事務所で不動産・法人・相続登記業務を経験。生命保険・損害保険の代理店と保険会社を経て2014年にレディゴ社会保険労務士・FP事務所を開業。セミナー講師、執筆などを中心に活躍中。 FP Cafe 登録FP。

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