特に、三菱航空機がMRJで参入する70~90席クラスの旅客機は、全世界で5000機以上の新規需要が発生すると見込まれており、有望な市場と見込まれる。さらには、裾野の広い航空機産業の各社が恩恵を受けるとの予想も働く。

その根拠も今では広く知られている。例えば、ボーイング社の最新旅客機である「ボーイング787」の部材の35%は日系企業が提供。三菱重工が主翼を、川崎重工 <7012> は前方胴体・主翼固定後縁・主脚格納庫を、さらに富士重工 <7270> は中央翼・主脚格納庫の組み立てと、中央翼との結合を受注している。また、エンジンには、三菱重工、川崎重工、IHI <7013> が参画しているほか、機体に使用する炭素繊維複合材料を提供しているのは東レ <3402> だ。

ボーイングが787の引き渡しを開始した2011年は3機納入したのみだが、その後徐々に増加し2015年は11月までに126機を納めている。受注残は2015年10月時点で788機あり、今後も日本企業の部材出荷の着実な増加が見込まれ、このまま順調に生産が進めば継続的な需要が見込まれる。


航空機産業の50%が中部地方に集中

日本航空宇宙工業会によると日本の航空機産業の総生産額は、2016年3月期で1兆6704億円に達する見込みだ。2012年3月期の1兆222億円から僅か5年で1.6倍増加することになる。こうした急成長を支えているのが中部地方の工場だ。中部経済産業局によれば航空機産業の生産額の50%を中部地方が占めているという。