フランスのパリで 11月13日に起こった 多発テロ事件直後から、フランス以外の国々でも銃乱射事件などテロが発生しており、「テロとの戦争」の第二ステージが始まったかのような状況だ。このテロ問題は経済成長や市場にどのような影響を与えるのだろうか。
11月16日には欧州中央銀行(ECB)の副総裁であるコンスタンシオも氏パリ同時テロの経済的影響はまだコメントができないとしていたが、約一カ月たった現在の状況をおさらいする。
10%程度の成長がテロのために損なわれているとの分析も
テロが経済に与える影響については、研究者の間では4点のコンセンサスが得られつつある。(1)テロ攻撃の直接の被害は地域限定的である、(2)観光などのテロ攻撃を受けやすい産業部門については特に重大な損失を被る、(3)産業が多様化している先進国経済はテロに対する体制が強く、比較的マクロ経済上の損失は小さい、(4)長期間テロの脅威に脅かされている小国や発展途上国ではGDPの10%以上を喪失しているとしていることだ。
フランス・パリの場合、マクロ経済上の損失は少ないと考えられるが、観光が主要産業の一つであることから、影響を無視できない。そのため問題が落ち着くまで同国の経済および経済成長への影響は予断を許さないといえそうだ。
また、4つ目の点については、発展途上国や小国に限定されているものの、GDP成長率の10%もが毀損されているとしており、一国の経済への影響も決して小さくない。
政治的要因からテロが発生し、内戦に発展してしまえば経済の成長率をさらに悪化させるといわれており、シリアなどではこの望ましくない状況に発展しているのが現状だ。