自助努力による企業収益の向上が進めば財政・金融政策の早期正常化が可能となる。財政赤字の削減が進めば信用リスクを背景とした金利上昇の抑止にもなり、一層の景気拡大につながる可能性もありそうだ。


消費増税前のかけ込み需要も

2017年4月に消費税率は8%から10%に引き上げられる。このため2016年度には住宅や高額消費財を中心に増税前の駆け込み需要が発生すると予測される。消費税率が5%から8%になる前の2013年度の実質GDPは前年比プラス2.0%だった。今回も同じような動きがみられるだろう。

住宅については、9月30日までに工事請負契約を締結するか2017年3月31日までに引き渡しを受ければ8%の消費税率が適用されるので、年度前半を中心に販売増が見込まれる。一方、自動車や大型家電製品などの高額消費財は一般的に最新機種が好まれるため、1-3月期の需要増が期待される。

さらに、税率引き上げ直前の3月には石鹸、洗剤、トイレットペーパー、掃除用品、レトルト食品、缶詰、ミネラルウォーターなどの日用品の買いだめも起きると想定される。


2017年秋以降には景気底割れリスク

消費増税後は、駆け込み需要の反動が現れる。もっとも先食いした分の減少がおさまれば元の状態に戻るはずだ。2014年度の実質GDPは前年比マイナス1.0%で2015年4-6月期も前期比マイナス0.1%になったが、7-9月期はプラス0.3%と持ち直している。2017年度から2018年度にかけても同じように回復するはずだ。

反動の影響が大きいと判断さる場合、参議院選挙の大敗などにより安倍政権が弱体化していない限り住宅ローン減税や家電エコポイントなど過去の実績を踏まえた景気刺激策を速やかに実施するだろう。