日銀の黒田総裁が異次元金融緩和の旗を振るカタチでスタートを切ったアベノミクス。財政、成長戦略も併せて開始し、日本経済も緩やかに回復しているとみられている。肯定的な、あるいは否定的な材料がそれぞれ出回る中で、2016年以降の経済動向を展望したい。


2016年の日本経済は明るい見通し

2015年7-9月期の実質GDPが前期比プラス0.3%となり、わずかな伸び幅とはいえ、増加に転じた。最近の安倍晋三総理の政権運営からすれば、突発的に大きな事件や事故が発生しない限り、当面アベノミクスにも変化はないとみられている。さらに、2016年7月には参議院選挙を控えていることもあり、補正予算や2016年度予算を機動的に活用するなど、積極的な景気対策が出てくるとみる向きもある。

日銀も景気が力強く回復していることや、消費者物価指数の2%上昇を確認しない限り、量的緩和政策を変更する可能性も低く、財政・金融政策による景気下支えが継続されるだろう。あしもとの経済状況が急激かつ大幅に悪化するリスクは低そうだ。

アベノミクス効果に懐疑的な見方を示す専門家もいるが、その中には民間部門の自律的な取り組みが2016年の日本経済を前向きに動かしていくと主張する人物もいる。鈴木明彦三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部長も、政府・日銀の景気判断を否定しつつも、生産拠点をグローバルに展開して稼いだり、知的財産権でライセンス料収入を得る、外国人観光客への「おもてなし」で稼ぐなどの取り組みを進めている。