ビッグデータとIoTの融合をめざす米国
リーマンショック後の経済危機からの脱却をめざしたスマートグリッド・プロジェクトが一巡した米国は、次なるステップへ移行しようとしている。
中東など、エネルギー資源の輸入依存度が高かった米国であるが、テキサス州をはじめとしてシェールオイル・ガスの国内生産量が急増して、エネルギー需給環境が大きく変わった。
国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で、米国政府は、スマートグリッド・プロジェクトにおけるビッグデータ利活用の実績を踏まえ、温室効果ガス削減対策に積極的な姿勢を示している。
米国が注目するのは、エネルギー分野を含むスマートシティ全体におけるモノのインターネット(IoT)の利活用だ。例えば米国立標準研究所(NIST)は2015年9月、「Global City Teams Challenge 2016」プロジェクトの計画を公表した。同年12月、そのキックオフがオースティンで開催され、IoT関連企業の積極的な参加を呼び掛けている。
電力のスマート化から水道のスマート化へ
ピーカンストリート・プロジェクトを契機に、オースティン全体でも、電力のスマートメーター化、ビッグデータ/IoT利活用の機運が一気に高まったが、その一方で問題が顕在化したのが、水道である。
オースティンの水道事業は市傘下の組織により運営されているが、設備の老朽化が進み、水道使用料金の過大請求が発覚するなど、問題が顕在化している。
そこでPecan Street Inc.は、テキサス大学オースティン校などと水道のスマート化を目的とするコンソーシアムを結成し、市への働きかけを開始した。
水道の場合もスマートメーターやモニタリング用のセンサー機器を設置し、水道データを収集・蓄積し、ビッグデータ分析ツールで需要を予測・可視化する仕組みを導入する必要がある。
シリコンバレーを抱えるカリフォルニア州で、水資源対策が大きな課題となっている折、オースティンは次のステップとして、スマートグリッドのビッグデータ/IoT利活用で蓄積した経験/ノウハウを水道分野に横展開させようとしている。今後要チェックのテーマだ。(笹原 英司、NPO法人ヘルスケアクラウド研究会理事)
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