貸出団体への献金・寄付は債権減免、利息の帳消しではないか

信用金庫などは以前より献金を行っているが、大手銀行が政治献金に乗り出す事については賛否がある。

その最大の理由は、その資金力・影響力を基に金融業界の為の政治を強制するのではないかという懸念である。

かつて日本の金融機関は政府と極めて強く関わりながら共に歩んでいた。象徴的なのが護送船団行政である。銀行間の競争を制限することでお互いに利益を確保させ、また手厚い保護を作り上げており、更に当時の大蔵省とも密着な関係を構築していたために金融機関・政治・行政の3者が癒着していたと言われた。その復活の可能性があるのではないか、特に法人税の減税やゆうちょ銀行に対する圧力が行われるのではないかという懸念である。

また今回は金融機関のビジネスモデルからも指摘が出ている。例えばみずほ銀行において、2013年末時点で自民党に対して24億2500万円の融資残高がある。

貸し出しをしている団体に対して献金・寄付を行うことは債権減免、利息の帳消しに当たるのではないかという指摘である。前述の自民党に対する融資は献金が行われなかったこの10年間において3倍に増加していることも、形の違う献金ではないかという指摘も出てきている。

金融機関は何のために献金するのか

金融機関が政治献金を行う表立った理由は規制緩和だ。最近、「FinTech」として金融と情報テクノロジーの融合の推進が叫ばれており、また人工知能やIoTなどもさらに進めていかなければいけないが、そのためのマスタープランがない。これらの策定に金融機関としても推進、関与していきたいという点だ。

またおそらくは銀行法についても改正を求めていくと考えられる。我が国では銀行は銀行法の規制で、欧米型のプライベートバンキング業務が出来なくなっている。従来であれば子供の留学の手続きや骨とう品等の落札代理など、富裕層の人生に関わる全ての部分に関与するのがプライベートバンキング業務であるが、銀行や銀行持株会社の傘下の金融機関に対しては銀行法上、これらの業務は禁じられている。

これから金融機関、特に銀行が富裕層向けのビジネスをしっかりと構築できるようにして行く為には銀行法の改正も必要となっていくであろう。その為の布石との献金でもあるであろう。

金融機関による政治献金は、社会貢献の一環であるとは言っているとはいえ、あくまで金融機関に対して便宜を図らせることが目的だ。そうでなければ株主に対する利益相反、説明責任が果たす事ができなくなってしまう。そのため内容によっては国民としては手放しで歓迎できる話ではない政策が出てくるかもしれない。

しかし、金融機関のビジネスに規制緩和が行われれば利用する私たちにとっても利便性が高くなる可能性も高い。政治献金だから良い悪いと判断するのではなく、政治献金が行われることでどの様に政治が変わっていくか注視しておかなければならない。(ZUU online 編集部)

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