株式投資
(写真=Thinkstock/Getty Images)

今年の日本株は夏場に波乱の展開となる場面も見られましたが、日経平均は年間ベースで4年連続の上昇となるなど、一年を通してみれば堅調な展開でした。世界景気の先行き不安が意識されるなかで、円安が輸出企業の業績を押し上げるなど、欧米企業と比べて日本企業の業績面での好調ぶりが目立ったことが日本株の上昇につながったとみています。

では2016年の日本株はどうなるのでしょうか。結論を先に申し上げますと2012年11月を基点に始まった「アベノミクス相場」は一旦終焉を迎えるとみており、日経平均は一定の範囲内で動くレンジ相場を想定しています。以下では、世界の投資環境、国内環境、需給、業績等について触れたうえで、2016年の日経平均の想定レンジなどを探っていきたいと思います。

比較的良好な投資環境が継続する

まず、世界の投資環境についてみてみましょう。筆者としては、2015年に続き、2016年も比較的良好な投資環境が続くとみています。確かに、2015年12月にFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げに踏み切り、今後も経済指標をみながら利上げに踏み切るスタンスを示すなど、これまで続いてきた世界同時金融緩和の環境が終わりを迎えるのは事実です。

とはいえ、ECB(欧州中央銀行)や日銀による量的緩和は継続していますし、状況次第では一段の追加緩和も見込まれることから、世界的なカネ余りは今後も継続する公算が大きいとみています。また世界各国の政策金利が低位であることには変わりはありませんので、「低金利・カネ余り」が投資家のリスク資産への投資意欲をサポートする流れは続く可能性が高いのではないでしょうか。

原油価格の動向には警戒が必要

一方、警戒したいのは、原油価格の動向です。原油価格の低迷により歳入不足に陥った産油国の一部では、原油収入の余剰資金で運用してきた資産を取り崩す動きが目立ち始めています。今後も原油価格の低迷が続くようですと、産油国の政府系ファンドによる株式資産の「換金売り」が世界の株式市場の上値を抑える場面もありますので、原油相場の動向には注意が必要です。

また、原油価格の低迷は新興のエネルギー企業が発行したいわゆる「ハイ・イールド債」の債務不履行につながり、それに投資しているヘッジファンドなどが損失を被り破綻するといったことも想定されます。2016年は原油価格の動向により市場が一時的に不安定化するリスクには気をつけるべきだと思います。

そのほかでは、中国からの資本流出加速により、ドル建て債務の多い中国企業の破綻が顕在化する「チャイナ通貨危機リスク」にも目配りをする必要があると思います。

安倍政権は参院選に向けて経済優先の政策へ

次に国内の環境についてみてみましょう。国内では7月に参院選を控えていることもあって、年前半は政策期待が高まりやすいとみています。構造改革や経済優先の政策姿勢を貫いた小泉政権と異なり、安倍政権は政策にブレが目立ったことから、2015年は海外勢による日本株買いが一服する場面もみられました。ただ、2016年は安倍政権が参院選に向けて再び経済優先の政策運営に舵を切る可能性が高く、効果的な政策が打ち出されることで、再度海外勢による日本株買いが膨らむ場面もあるとみています。

もっとも、2016年の秋口に2017年4月からの消費税率の引き上げが正式決定される公算が大きいことが日本株の重しになるとみています。このため、年末にかけては再増税による景気の先行き悪化を懸念する動きが海外投資家中心に広がるとみており、需給面での上値圧迫要因になると考えています。一方、下値では日本株に対する投資余力があるとみられる公的年金によるゆうちょ銀行、かんぽ生命等の買いが期待されるため、日本株の過度な下値リスクは限定的といえるかと思います。

2016年は物色の二極化が鮮明になりそう

業績面では、円安効果一巡が重しになるとみています。2016年のドル円について簡単にみてみると、今後、米経済指標の改善が予想ほど進まず、FRBの想定通りの利上げペースとならないという見方が強まるとみています。このため、1ドル=115円程度までドル安円高が進む可能性もあると考えていまして、2016年は為替相場の動向に注意を払う必要があると考えています。

円安効果を多分に享受している16/3期の日経平均予想1株あたり利益(EPS)が約10%程度しか増えない見通しであることを踏まえると、17/3期の同EPSは中立シナリオで横ばい、悲観シナリオで5%減、楽観シナリオで5%増程度になると想定しています。日経平均の16/3期予想EPSが本稿執筆時点の1265円になるとした場合、17/3期の予想EPSは5%増シナリオで1328円、5%減シナリオで1201円となります。リスクオン局面で日経平均の予想PERは16倍程度まで上昇し、リスクオフの局面では14倍程度まで低下する点を考慮しますと、2016年の日経平均は概ね1万7000円~2万1000円程度で推移すると考えています。つまり、2016年の日経平均は、2015年の夏場の株安局面の安値(1万6930円)と6月につけた年初来高値(2万0868円)の範囲内で動くことになるとみています。

2016年の日経平均はレンジ相場を想定しますが、日本株の投資機会は依然として大きいとみています。なぜならば、2015年よりも企業の収益環境が厳しくなるなかで、業績の好不調の差が歴然となり、物色の二極化が鮮明になるとみているためです。今後は好調企業が一段と買われる一方、業績不調企業の株価はさえない展開が続く可能性が高いといえるかと思います。今後は個別銘柄に対する「選球眼」がさらに求められるのではないでしょうか。

石黒英之(いしぐろ・ひでゆき)
専門商社勤務を経て2004年に岡三証券に入社。入社後は渋谷支店で個人営業に従事。2006年岡三経済研究所経済調査部(現:岡三証券 グローバル金融調査部)を経て、2008年岡三証券投資戦略部日本株情報グループに配属。2010年日本株情報グループ長(現:日本株式戦略グループ長)となる。

【編集部のオススメ記事】
2017年も勝率9割、株価好調の中でもパフォーマンス突出の「IPO投資」(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
株・債券・不動産など 効率よく情報収集できる資産運用の総合イベント、1月末に初開催(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)