(写真=Thinkstock/Getty Images)
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昨年末、年の瀬も迫る17日から18日に、日本銀行は同年内では最後となる金融政策決定会合を開き、量的・質的金融緩和の補完措置の導入を決めた。「異次元緩和」とも言われていた緩和策に加えて、補完措置として、上場投資信託(ETF)の買入枠をさらに、3000億円上積みが金融政策になるとともに、長期国債買い入れの平均残存期間の延長などの策が盛り込まれた。

しかし、今回、日銀が実施を決めた金融緩和の補完措置を取り巻く状況はそれほど単純ではない。当の金融政策決定会合でも、「金融政策の独立性を損なう」「大規模金融緩和の長期化を懸念する」という意見のもとで、政策委員9人のうち3人が反対に回り、金融緩和のさらなる拡大には、慎重な見方も多いからだ。

審議員交代で金融政策の転換も

さらに、日銀の金融政策の決定プロセスに、大きな変化が起こる可能性も見逃せない。同中央銀の金融政策を決める会議である「金融政策決定会合」を開催する政策決定委員会の委員構成が変わり、その帰結として金融政策の方向性も変わりかねないからだ。

現行制度では、黒田東彦日銀総裁と岩田規久男、中曽宏の両副総裁、さらには6人の審議員の多数決で、金融政策も決まる。審議員としては現在、白井さゆり氏、石田浩二氏、佐藤健裕氏、木内登英氏、原田泰氏、布野幸利氏らが務めている。6人の審議委員の意見のいかんによって、政府の意向とする政策が遂行できなくなる可能性があり、その影響がはかりしれないため、委員構成の重要性も際立ってくるのだ。

その日銀政策決定委員会の構成に今年、一つの区切りとなりそうだ。というのも、政策決定委員会の石田浩二審議員が2016年6月29日で任期切れとなり、退任する予定だからだ。同人事が現在の金融政策の方向性をより盤石にする可能性もあれば、金融政策の決定過程に影響を与え、不安定な事態を招くのではないかという疑念も浮かんできているからだ。

もちろん、そうした見方をする理由もある。石田氏の金融政策決定会合での姿勢で、前回(昨年末)の会合でも同氏は、金融緩和の補完措置の実施に反対するなど、緩和の拡大に対しては慎重な立場をとっており、後任の人事いかんで、状況がまた変わりかねない。加えて、一般的には、後任は石田氏と同様に銀行界出身者からの選出だとみられているが、政策に中立的である経済界の人物が選出されるのではないか、という憶測もあり、まだまだ予断を許さない環境だ。

また、来年3月いっぱいで白井さゆり審議委員が任期を迎える予定だ。同人事でも賛成する人物が後任として選出されるのではないかと予想されており、黒田総裁の在任中は、異次元緩和の継続が基調となるのではないかとの見方が強い様子だ。

「異次元緩和」とりまく環境も流動的

ただ、日銀の金融政策の今後を占うには、外部環境にも目を配る必要がありそうだ。その一つが外国の金融政策、特に米国・連邦制度準備理事会(FRB)の動向に注意を要することは論を俟たないだろう。昨年末からの大きな政策変更と上手く付き合う必要がありそうだ。

より詳細には、FRBは昨年末、2008年末から続けてきたゼロ金利政策を解除し、9年半ぶりに政策金利を0.25%にする利上げを敢行。金融引き締め政策に舵を切りはじめており、2016年もさらに複数回の利上げが見込まれており、米国の金融政策いかんで日本市場も大きく影響を受ける可能性もありそうだ。

また、国内の動きからも目が離せない。2016年は参院選を迎える年で、安倍首相は年頭の記者会見において「日銀の金融緩和によって経済が好転し、物価上昇のトレンドとなっている」「政府・日銀と一体になって、デフレ脱却を目指す」と語っている。2016年度中は現在実行中である金融政策の継続が予想されるが、参院選の結果いかんによっては当然状況も変わってくるため、今年の金融政策を占うのはなかなか難しいところである。

2017年には消費税10%の増税が決定されており、個人消費のさらなる冷え込みが懸念されている。それを穴埋めするためにも低金利を維持し、企業の業績を上げ、賃上げを促すことによって景気を回復させるというシナリオを政府は目論んでいるのではないかとの見方も出てきている。(ZUU online 編集部)

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