2016年がスタートしたが、今年で100周年など創業から数えて節目を迎える企業は多々ある。帝国データバンクの調査によると、10周年や100周年など周年記念企業は全国で13万5000社以上が該当するという。そこで今回は、2016年に節目を迎える企業の中から老舗企業や節目イベントを予定している企業にスポットを充てて紹介したい。

時は戦国!西川産業はなんと創業450周年

1566(永禄9)年、初代西川仁右衛門が、19歳のときに近江国蒲生郡南津田村で創業。西川産業の歴史は、蚊帳などの行商からはじまった。時は戦国時代、織田信長が天下統一を目指していたころだ。その後、近江八幡に本店「山形屋」を開き、豊臣家が滅亡した大坂夏の陣の1615(慶長20)年には、江戸の日本橋のたもとに支店を開設。

大きく移り変わる時代とともに動く「近江商人」仁右衛門の卓越した先見の明を伺わせる。また、大ヒットとなった萌黄色に紅布の縁の「近江蚊帳」を発案した際の二代目甚五郎のエピソードも興味深い。それは、箱根越えで疲れた身を木陰で休ませていた時に、目の前に緑色のつたかずらが広がる場面を見たイメージから生まれたというもの。1887(明治20)年前後には、それまで家で作るものであった「ふとん」を商品化するなど、時代のニーズを捉えつつも、現在も変わらず睡眠を支えている西川産業だ。

こちらは江戸時代!創業400周年のヒゲタ醤油

江戸時代、大坂夏の陣の翌年の1616(元和2)年創業で、今年400周年を迎えるのがヒゲタ醤油。下総の国・銚子の豪農、第三代田中玄蕃が銚子ではじめた、関東で最古の醤油業だ。人口が増加し、「早く・安く・うまい」食べ物が求められた江戸では、こいくち醤油が好まれるようになり、利根川や江戸川などの水運を利用して発展していったとのこと。今年は特に「江戸の味を伝えて4世紀」のキャッチフレーズが印象的だ。

また、1666(寛文6)年創業のユアサ商事 <8074> は、創業350周年。初代湯浅庄九郎は、京都にて木炭商として創業。その後、江戸本石町に打刃物問屋を開いた。建築金物、打刃物、機械工具、エンジニアリング事業、環境エネルギー事業、国土強靭化対応事業と新規事業を拡大しながら発展してきたユアサ商事は、現在「機械と住宅の複合型専門商社」としてグローバルに展開。創業350周年の2016年を跨いで中期経営計画「YUASA LEGASY 350」を発表している。

銀行やビールは明治日本の新業態

三井住友フィナンシャルグループ <8316> 傘下の三井住友銀行は1876(明治9)年の日本最古の銀行である三井銀行設立を創業とし、創業140周年。言わずと知れた三井財閥だが、今年はNHK連続テレビ小説「あさが来た」のエピソードとしても登場し、親しみを感じさせてくれている。

サッポロホールディングス <2501> 傘下のサッポロビールは同じく1876年、開拓使麦酒醸造所を起源に開業。同醸造所の開業140周年を記念し、2016年4月21日に北海道札幌市の「サッポロビール博物館」を新装グランドオープンする。「北海道遺産」にも選定されている歴史的建造物である当施設の3階建ての内部を全面リニューアルするほか、基本の自由見学(無料)に加えて、全館をガイド付きで巡る「プレミアムツアー」(有料500円)をスタート。6K映像シアターで歴史物語を上映、「復刻札幌製麦酒」の試飲などができるなど、札幌観光にぴったりの内容だ。

ほかにも明治の創業がある。文芸書の大手出版社、新潮社は、1986(明治29)年創業の120周年。おなじく1986(明治29)年に井村和蔵が三重県飯南郡松坂町で菓子舗として創業した井村屋グループ <2209> も、120周年だ。また、五十嵐健冶が日本橋の呉服町にて1906(明治39)年に創業、翌年には日本で初めてドライクリーニングを開発した白洋舎 <9731> は、110周年を迎える。

創業100年の主婦の友社や霧島酒造

記念すべき創業100周年を迎える1916(大正5)年創業の企業は、大正時代のカラーを表すかのようにバラエティに富んでいる。石川武美が東京で「東京家政研究会」創業し出版事業をスタートさせたのは、主婦の友社。また、霧島酒造は、宮崎県都城市にて江夏吉助が「川東江夏商店」として本格焼酎の製造を開始した。

大阪市住吉区で大阪の実業家5人によって創設された学校法人帝塚山学院には、NHK朝ドラ「マッサン」の主人公のモデルであるリタが小学校で英語を教えていたというエピソードも。そして、小熊信哉が東京に硝子工場を設立し、国内で初めて硬質ガラスの製造に着手、理化学医療用ガラス器具メーカーとして創立したのが、不二硝子 <5212> 。名古屋市東区の大同特殊鋼 <5471> は、名古屋電燈から製鋼部門の分離する形で電気製鋼所を設立した。

全国各地で多種多様な企業が誕生し、さらに今、100年の発展を遂げていることが興味深い。

東京ドームも創業80周年、戦後の経済躍進も特徴的に

80周年を迎えるのが、東京ドーム <9681> だ。1936(昭和11)年、日本の職業野球の本格スタートに伴って生まれた球場を解消すべく設立されたのが「後楽園スタヂアム」。翌年には、野球場を開場した。現在は、東京ドームシティのみならず、多角的な事業展開を行っている点も興味深い。また、同年、財団法人理化学研究所における発明の工業化を目的とする理化学興業株式会社から独立したリコー <7752> も、創業80周年を迎える。

そして、戦後まもない1946(昭和21)年創業のソニー <6758> 、カシオ計算機 <6952> 、コーセー <4922> 、理想科学工業 <6413> 、エステー <4951> 、学研ホールディングス <9470> は、そろって創業70周年を迎える。この会社のラインナップは、経済成長とともに、世界最先端を競うまでに躍進した日本の技術力、ブランド力、学力を支えてきた企業が揃ったと言えるだろう。

最後になるが、静岡県静岡市で「フロンティア製茶株式会社」として創立した、伊藤園 <2593> は1966(昭和41)年の創業で50周年。世界初の缶入りウーロン茶の発売でも知られ、缶やペットボトルのお茶で親しみ深い企業だ。

創業の時代に、その業種の需要とパイオニア精神を感じさせてくれる長寿企業。戦国時代、江戸時代、明治、大正、昭和、平成と、激動する時代を生きぬいてきた企業のその姿勢には、変革と継承の絶妙なバランスを見るようだ。伝統を守るだけじゃない、どこか一本芯の通っている長寿企業。周年を迎え、各社とも、さらなる飛躍が期待される。(ZUU online 編集部)

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