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Written by 高田泰 125記事

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人がいない限界集落で誰が墓を清掃する? 注目高まる代行サービス

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)

急激な人口減少で消滅の危機が迫っている限界集落。先祖伝来の墓を解体、撤去する「墓じまい」や墓の放棄が相次ぐ中、墓参りできない家族に代わって墓守を代行する新サービスが全国各地に登場している。

故郷を遠く離れ、都会で暮らす人たちにとって、墓は古里と自分を結ぶ最後の絆だ。しかし、これまで墓を守ってきた高齢者は老い、都会に根づいた子や孫は戻ってこない。最後の絆さえ失われようとする中で出現した墓守代行サービスは、限界集落が置かれた厳しい状況を物語っている。

家族に代わって墓を清掃し、焼香

墓守代行サービスをしている業者の1つが、長崎市春木町にある「墓守代行センター」(西大悟社長)だ。2005年に創業した比較的新しい会社で、長崎、福岡県を中心に北九州各地で墓守代行や遺骨の海洋散骨を進めている。

同社のサービスは、利用者の希望に合わせて年に何回か墓へ行き、掃除や水の入れ替え、焼香、お供えをしたうえで、作業前と作業後の状況を写真に撮影し、利用者へ報告する仕組みだ。作業件数は月に100件ほど。お盆やお彼岸を中心に年に3、4回の依頼が多いが、中には月命日を含めて年24回の依頼をしてくる人もいて、年間作業件数は300回ほどになる。

利用者は福祉施設に入居するなど体力が衰え、墓参りが難しくなった地元の高齢者か、都会で暮らす跡取りがほとんど。依頼の際に「先祖伝来の墓を撤去する決断はできないものの、都会にいる子や孫に負担をかけたくない」、「親類に迷惑をかけるのが心苦しい」などと理由を伝えてきているという。

本社がある長崎県は、急激な人口減少と高齢化社会の進行に苦しむ離島を多く抱えている。長崎市内でも旧伊王島町、高島町など過疎の集落が存在する。西社長自身が離島にあった先祖の墓の処置に困った経験から、このサービスを思い立った。

西社長は「墓じまいをする人は誰もやりたくてそうしているわけではない。墓守代行でサポートしてあげれば、墓じまいなどしなくても済む。利用者の多くは頻繁に墓参りしていたのにできなくなった人たち。そんな人たちの悩みを解決してあげたい」と意気込みを語った。

全国各地にサービス会社が出現

広島市安佐南区祇園にも、墓守代行を始めた業者がある。墓地管理事務所「ひこばえの杜」(堀暢貴社長)だ。サービス内容は墓守代行センターとほぼ同じで、雑草抜きや掃除、焼香をし、作業前、作業後の写真を撮影して利用者にメールで報告している。利用者は関東に住む50代から60代の地元出身者。年間に3〜5件程度の依頼がある。

墓守代行サービスを引き受けているのは主に墓地管理業者だが、そうした業者がいない地域では、いわゆる便利屋やシルバー人材センターが乗り出している。中には動けない高齢者を墓まで連れて行くサービスもある。

地方だけでなく、東京や大阪にも引き受ける業者が生まれてきた。中には全国にネットワークを築き、地方の墓守代行を請け負うところもある。まさに墓守代行が静かなブームになりつつあるような気配さえ感じられるほどだ。

2000年ごろから山間部にある先祖伝来の墓を自宅近くに移すブームが起きた。現在はそれに代わって墓を撤去して納骨堂を移す動きが静かに広まろうとしている。団塊の世代が後期高齢者となるのが2025年。そのころには放置か移設かを迫られる人が多くなるとみられている。

ただ、年代が下がれば下がるほど、信仰心の低い人が多いのが現実だ。ひこばえの杜の堀社長は「墓にかけるお金にシビアになってきているように感じる。自宅近くの納骨堂に納める人が増え、やがて墓守代行の需要も収まるのではないか」とみている。

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