背景に潜む深刻な人口の減少
その背景にあるのが、地方の急激な人口減少と高齢化。65歳以上の高齢者が過半数を占める限界集落は、総務省の調査で全国に400以上ある。高知県大豊町や徳島県上勝町など自治体全体で高齢者が過半数を占める限界自治体も生まれている。
これまで過疎地域を支えてきた昭和一桁世代は信心深い人が多いが、後期高齢者となって自由に墓参りもしにくくなってきた。病院や高齢者施設に入り、墓守がいなくなった世帯も珍しくない。
かといって、都会に出た子や孫は戻ってこない。過疎地の農林業では生計を立てにくく、働く場所もないからだ。政府が唱える地方創生の掛け声だけが虚しく響き、消滅に向かってひたすら坂道を転がっているのが限界集落の現状だ。
その結果、多くの墓が移設もされずに放棄されている。熊本県人吉市が2013年、市内の墓地約1000カ所を調べたところ、全1万5000基のざっと4割に該当する6500基が夢苑墓になっているという衝撃的な実態が明らかになった。
墓地を持つ寺の住職が不在で、都市部の寺の住職が兼務する例も増えている。中には十分な手が回らず、荒れ果てようとしている寺もあるという。限界集落の寺に赴任しようと考える人はなかなか見つからない。
民間の有識者会議・日本創世会議(座長・増田寛也元総務相)は2014年、全国約1,800の自治体のうち、ほぼ半数に当たる896自治体に消滅の可能性があると発表した。墓守代行サービスの登場は消滅へのカウントダウンが始まったことを意味するのだろうか。
高田泰 政治ジャーナリスト
地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆中。マンション管理士としても活動している。
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