(写真=Thinkstock/Getty Images)
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今年度が終わる3月末まであと2ヶ月余り。そろそろ株主優待制度狙いの株式投資を真剣に考え始めてもいい頃だ。株主優待は上場企業が株主に感謝する意味や、展開する事業の固定ファンになってもらう狙いで提供する恩典。内容は、飲食料品、金券・割引券、サービス提供、施設利用権、ポイント付与などバラエティーに富む。これら優待制度を提供する企業は1100銘柄以上にのぼる。

多くの企業が多彩な優待策を提供

日本企業は3月決算が多く、優待狙いの投資の選択肢が大きく広がるのがこの時期だ。近所にない店や航空運賃の割引券をもらってもしょうがないと思う人もいるだろうが、金券ショップなどで換金できる場合もある。その意味で株主優待制度は隠れた配当ともいえるだろう。

優待制度が適用されるのは決算期末時点の株主、つまり3月決算であればその月末に株主名簿に載っている投資家である。それならその直前に買えばいいのでは? と思うかもしれないが、実はそうでもない。魅力的な優待制度を提供する銘柄は期末に向けて買う投資家が多く、株価が上昇するケースが多いからだ。株式の権利落ちというイベントを狙った一種のイベント・ドリブン投資である。

優待銘柄狙いは早めの投資が得策

例えば東証2部上場のアトム <7412> 。居酒屋やステーキ、回転寿司などの外食チェーンで、居酒屋「甘太郎」を展開するコロワイドの傘下企業だ。同社は自社および関連チェーンで使える2000ポイント(2000円相当、100株当たり)の優待券を3月末と9月末の2回、年間合計で4000円相当を株主に配布する。直近の株価700円弱で計算すると年6%近い高還元率になる。

同社株は例年、3月末に向けて上昇する傾向がある。過去3年間の前年末終値から3月高値までの上昇率は13年が38%、14年3%、15年6%。これに対し、日経平均株価の変動率はそれぞれ22%、-6%、13%だ。15年はアトム株が前年末に急騰した反動で若干劣るが、13、14年はいずれも日経平均を大きくアウトパフォームしている。各年9月末に向けた相対的な動きをみてもほぼ同様だ。

優待銘柄は期末に向けてアウトパフォーム

つまり、期末まで待たずに早めに投資しておけば値上がりが期待できる、あるいは値下がりの可能性が小さいといえる。優待策の権利を確保してもその後株価が大きく値下がりしては元も子もないが、横ばいなら御の字、ましてやキャピタルゲインも得られるなら申し分ない。
また、期末までのキャピタルゲインが株主優待メリットを大きく上回るようであれば、その時点で株式を売却する手もある。優待策は受けられないが、純投資と考えればそれも悪くない。期末までに株価が下がることがあればまた買い戻せばよい。

魅力のある優待策を探す

株主優待企業を探すには、ヤフー・ファイナンスなどのサイトが便利だ。同サイトでは専用のタブがあり、投資家のアクセス数や最低投資金額、配当利回りの順にランキングしており、目的に応じて柔軟に検索できる。例えばアクセス数のランキングでは、上位企業は注目する買い手がそれだけ多い、つまり株価上昇の可能性が高いと解釈することもできる。

さらに、優待策の内容を飲食料品、ファッション、食事(割引)券、交通・旅行など10種以上にジャンル分けしているため、投資家のライフスタイルに応じて検索できる非常に便利なサイトだ。

株主優待は魅力的なものが多いが、期待したメリットを得られない場合もあるから注意したい。その代表は株数や保有期間の制約。銘柄の最低取引単位が100株であったとしても、例えば300株以上持っていなければ優待策が適用されないことがある。

また、半年や一年など一定期間以上の株式保有を条件にしている会社もある。金券ショップなどでの換金目的の場合は、その権利が株主本人に限られていないかなど、事前にこれらのことをよく調べたうえで銘柄を選択したい。業績悪化で優待策を縮小・廃止したという例はあまり聞かないが、株価のことを考えれば業績動向にも目配りしたいところだ。

2016年3月の株主優待はいつまでに買えば間に合うのか?

最後に確認しておきたいのは買いのタイミング。買い手が株主として認識されるのは購入日の翌日から3営業日目。逆に言うと、月末から営業日で数えて4日目が「権利付き最終日」で、今年の3月決算でいえば3月28日。この日までに株式を買えば、めでたく配当と優待権を手にすることができる。まれに決算日が3月20日などという企業もあるのでこれも確認が必要だ。

株主優待制度は日本の株式市場の魅力のひとつ。純投資も含め、これを活用すれば株式投資はまたひと味違ったものになるだろう。直近ではとくに株価全体が急落、先行きが不透明なため、優待制度という「保険」付き銘柄に人気が集まるかも知れない。(シニアアナリスト 上杉光)

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