就業不能保障保険の概要
米国では就業不能保障保険(所得補償保険)は、disability insuranceと称されており、・短期就業不能保障保険(short-term disability insurance、3か月から6か月の短期間の就業不能を保障)
・長期就業不能保障保険(long-term disability insurance)、少なくとも6か月以上の長期間の就業不能を保障)に区分されている(*5)。
長期就業不能保障保険の商品概要はつぎのとおりである。
①給付事由
・完全就業不能状態(total disability)と、部分的就業不能状態(partial disability)に区分
・完全就業不能状態は、疾病または傷害により、本来の職業(own occupation)に従事できなくなった場合またはいかなる有給の職業(any gainful occupation)にも従事できなくなった場合
・本来の職業に従事できなくなった場合に就業不能保険金が支払われるが、一定期間(たとえば、2年~10年)経過後は、給付事由がいかなる有給の職業にも従事できなくなった場合に厳格化
・本来の職業とは、就業不能状態に該当したときに従事している職業で、保険会社により、詳細な職業区分が行われる場合が多い
・いかなる有給の職業にも従事できなくなった場合とは、被保険者の教育、訓練および経験により、相応の収入を得られるいかなる職業にも従事できなくなった場合を指す
・部分的就業不能状態(partial disability)は、本来の職業(own occupation)について、就業してはいるが、1つまたはそれ以上の主要任務ではない任務を遂行できないか、または1週間に要求される出勤時間のうち、半分以上出勤できず、収入が減少する場合で、保険金額
の一部(一般的には50%)が支払われる
②免責期間(elimination period)
・待ち期間(waiting period)とも称され、就業不能となってから給付が行われない期間
・通常30日から1年間の間で、3か月とするケースが多い
・逆選択防止と、会社からの給付との重複を避けるために設定されている
③給付期間
・65歳以前に就業不能状態となった場合は、一般的に2年間または5年間、65歳までや稀に終身とするケースもある
・就業不能となった者の98%が1年以内に復帰しており(1年を超えて継続する場合、特に高齢者では職場復帰は極めて困難となる)、給付期間を長く設定すると保険料がかなり上昇するという実態から、給付期間としては短期間を設定する例が多いものと考えられる
・就業不能が再発した場合の取扱については、同一原因による6か月以内の再発は継続した就業不能とするケースが多い(近年12か月とするケースも増加⇒免責期間の新たな適用がないため顧客有利となる)
④就業不能保険金額の設定
・保険金月額(monthly indemnity)は、所得の低い者に対しては所得の85%程度に、所得の高い者に対しては所得の65%程度に制限されている。
⑤保険給付
・基本的な保険給付は、就業不能保険金と保険料支払免除(waiver of premium benefit)
・このほか、生活費調整(cost of living adjustment)と称される消費者物価指数に連動した保険金調整特約や、たとえば5年ごとに5%の保険金額の増額を行う自動増額給付(automatic increase benefit)などがある(*6)なお、米国個人就業不能保険(所得補償保険)販売上位のガーディアン生命の職業クラスは1~6となっており(*7)、職業区分によるリスク細分など、きめ細かい商品設計となっている(*8)。