(写真=Thinkstock/Getty Images)
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ポートフォリオとは、資産運用の世界では分散投資の代名詞として日常的に使われる言葉である。その昔ウォール街の資産家は、いろいろな株券や債券などを分類して保管できる専用のかばんや書類入れを愛用しており、その名前に由来するとの説が有力である。ポートフォリオは、いまやETF(上場投資信託)の登場により、低コストで日本や海外の株式や債券、不動産、国際商品など性格の異なる複数の資産で構成する「国際分散投資」を可能にしている。また、株式や債券だけのポートフォリオなど、資産の種類はひとつでも、多くの銘柄に投資することで分散化を図るものも多い。今回はポートフォリオ運用の基本的な考え方を解説したい。

リスクを分散することで資産の目減りを防ぐ

ポートフォリオ運用の特長は、リスクの低減を図りつつも安定した収益(リターン)を狙える点にある。つまり、投資対象の数を増やすことでリスクを分散・低減し、大切な資産を守ることが大前提だ。そのうえで長い時間をかけて資産を育てるという考え方である。

たとえば、株式や金といった特性の異なる資産を同時に持てば、どちらかが値下がりしても片方が上がる、あるいは両方値下がりしたとしても片方だけを持つより損失を軽減するといった具合である。また、同じ株式でも一つの銘柄よりも複数の銘柄に広く分散したほうがリスク低減につながる。

もちろん、一つの銘柄だけでも「運が良ければ」大きな利益を得られる可能性もあるが、「運が悪い」と大きな損失にもなる。これではギャンブルと変わらない。ポートフォリオ運用は、この「運の要素(リスク)」をできるだけ排除することに重要な意味を持つ。ポートフォリオ運用は、巨大資金を運用する機関投資家の多くが実践しているが、ETFを活用することで個人投資家にも手軽に始めることができる。

長期運用はコストを低く抑えることが重要

ポートフォリオ運用の一つの手段として投資信託がある。一口に投資信託といっても株式や債券、不動産、コモディティなど運用対象となる資産は多種多様で、その種類は約5700にもおよぶ。同じ資産でも日本だけでなく、様々な国や地域の資産を運用対象としたものも多く、個人で投資するには困難な発展途上国の資産への投資も可能となる。また、様々な国の多様な資産に分散投資して、徹底したリスク低減を図った「バランス型ファンド」もある。

ETFは、投資信託をさらに進化させ、株式のように証券取引所で自由に売買できるようにした投資商品である。前述の投資信託と違って取引所に上場されているため、取引時間中はリアルタイムに価格が変動し、より柔軟性のある運用が可能だ。しかし、ETFの最大のメリットは投資信託に比べて運用コストが圧倒的に安いことにある。

たとえば、前述の「バランス型ファンド」と呼ばれる投資信託と同じようなポートフォリオをETFで組んだ場合、信託報酬を5分の1以下に抑えることができる。数十年後を見据えた長期投資を想定すると、この運用コストの違いが結果として大きなリターンの差となってあらわれる。長期運用ではコストを少しでも低く抑えることが重要といえる。

ETFは低コストのポートフォリオ構築に最適

ETFの銘柄数は投資信託には及ばないものの、200銘柄近くが東京証券取引所に上場している。その運用対象も国内外の株式、外債、不動産(REIT)に加えて原油や貴金属といった国際商品など多岐にわたる。同じ株式でも、TOPIX(東証株価指数)に連動したETFで1部上場のすべての銘柄を広く浅く購入することもできるし、エネルギーや食品、自動車など特定のセクター(業種)の銘柄に絞って投資できるETFもある。唯一、日本の国債や社債を対象とする国内債券ETFがないのは残念だが、いずれ登場することを期待したい。

ETFの取引単位は銘柄や運用会社で異なるが、最近は1口単位のものが増え、数千円から1万円台と手軽に買えるものも多い。10万円もあれば、ランニングコストを低く抑え、リスク分散の効いたポートフォリオも組めるので、まずは少額の資金で始めて、経験を積みながら投資金額を増やすのも良いだろう。不測の事態が起きたり市場環境が急変した場合でも、転売や入れ替えが比較的容易にできるので安心だ。

ところで、もうひとつポートフォリオ構築の際に有益な考え方を紹介しておこう。「コア・サテライト戦略」と呼ばれるものだ。その名の通り、ポートフォリオをそのコア(中核)部分とサテライト(衛星)部分に分けて運用するものだ。

「コア・サテライト戦略」でリスクを管理する

その利点は、「守り」と「攻め」の運用を明確に区別できることにある。「コア」のポートフォリオは株式や債券のインデックスETFなどを組み合わせ、日本や先進国の株式や債券に幅広く分散して守りの運用をする。その一方「サテライト」部分は攻めの運用で、先進国の個別株式や新興国株、為替、コモディティ、不動産など一般にリターンが比較的高いリスク資産に投資する。

よほどの環境変化がない限り、コア部分には手を加えず、サテライト部分でその時々の経済情勢や市場動向に応じてリスク資産を選別しながら高リターンを狙う。さらに、極端なリスクオフ局面ではサテライト部分を現金化したり、コア部分並みの守りの資産構成にすることもできる。

コア部分のリスク・リターン特性はほぼ変わらず、余分な売買をしないためコストも低く抑えることもできる。ポートフォリオ全体のリスクとリターンのコントロールは、サテライト部分のみで行えるのがポイントだ。コア・サテライト戦略は、比較的安全な資産と高リスク資産の構成を明確にすることができ、リスク・マネージメントも容易なことから、機関投資家はもちろん多くの資産家も実践している。(シニア・アナリスト 上杉光)

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