(写真=Thinkstock/Getty Images)
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今回ZUUonline 編集部から提示された「想定相談者」は、40代の二代目企業経営者で既婚、子供は2人。年収は3000万円程度で、先代からの遺産相続を含め金融資産は5億円である。本人は、あと10数年で子供に事業を継承する意向で、セカンドライフを見据えた資産運用を考えている。年収、金融資産ともに充分であり、積極的に資産を増やすのではなく、資産の目減りを防ぐことを希望している。従って、今回はETFで分散効果を最大限に活かしたポートフォリオを構築し、徹底的な資産防衛を図りたい。

ETFの特性を最大限に発揮した資産防衛を構築

筆者が推奨する「自分ポートフォリオ」は以下の通りだ。

①国内株式  15% iシェアーズ TOPIX ETF <1475>
②米国株式  10% SPDR S&P500 ETF <1557>
③欧州株式   5% UBS ETF ユーロ圏大型株50(E・ストックス50) <1385>
④スイス株式  5% UBS ETF スイス株(MSCIスイス20/35) <1391>
⑤英国株式   5% UBS ETF 英国株(MSCI英国) <1392>
⑥米国債券  15% iS米国債ETF(BARC 米10年国債) <1363>
⑦外国債券  25% 上場インデックスファンド海外債券毎月分配 <1677>
⑧米国REIT  10% iシェアーズ米国不動産株ETF(ダウ米不動産) <1590>
⑨豪州REIT   5% 上場インデックスファンド豪州リート <1555>
⑩国際商品    5% S&P GSCI商品指数エネルギー&メタル <1327>

今回の相談者の特徴は「円資産が多額」の一言に尽きる。つまり、円の価値下落への対応が必要となる。よって、現預金と近しい資産と考えられる国内債券との相関が低い(ない)もしくは負の相関があると考えられる資産に分散投資を図ると同時に信託報酬の低いETFで構成した。

なお、上記自分ポートフォリオは資産の目減りを防ぐ「資産防衛」が主目的であるが、国内債券が投資対象のETFが現状存在しないうえ、昨今のマイナス金利導入・財政再建が進んでいない日本の状況を鑑みると、為替リスクを積極的にとるのが得策と判断した。

幅広い国際分散投資で「円の価値下落」に備える

それでは「自分ポートフォリオ」の各ETFの選定理由について紹介したい。

iシェアーズ TOPIX ETFは、名称のとおりTOPIXに連動するETFで、選定理由は0.025%という信託報酬の圧倒的な低さにある。東京証券取引所に上場するETFで最も低い信託報酬となっており、日本株を組み入れるうえでは最適と判断した。

SPDR S&P500 ETFは、米国の「S&P500指数」との連動を目指したETFだ。選定理由は、0.0945%という信託報酬の低さと、世界最大の株式市場である米国株への投資の必要性からである。

UBS ETF ユーロ圏大型株50(E・ストックス50)は、ユーロ圏12カ国の株式市場において、時価総額の上位50社の銘柄で構成される「ユーロ・ストックス50®インデックス(ネットリターン)」との連動を目指すものである。欧州圏への投資という観点から組み入れた。なお、信託報酬は0.15%と海外株式へ投資するETFとしては低いものとなっている。

UBS ETF スイス株(MSCIスイス20/35)は、スイスの株式市場の大型・中型株で構成される「MSCIスイス20/35インデックス」との連動を目指すものであり、前述のユーロ圏ETFにスイスが入っていないことと、信託報酬の低さ(0.20%)から選定した。

UBS ETF 英国株(MSCI英国)は、英国株式市場の大型・中型株で構成される「MSCI英国インデックス(ネットリターン)」との連動を目指すものであり、組み入れ理由はスイス株ETFと同様である。

iS米国債ETF(BARC 米10年国債)は、残存期間7年以上10年未満の米国財務省証券で構成される指数(バークレイズ米国コクサイ7-10年インデックス)と同等水準の投資効果を目指すものである。ドルへの投資、低リスク、信託報酬0.20%という観点から組み入れた。

上場インデックスファンド海外債券毎月分配は「シティ世界国債インデックス(除く日本、ヘッジなし・円ベース)」との連動を目指したものであり、構成国は22か国、一部新興国も含まれるものの、0.25%という信託報酬の低さと、分散効果の高さから選定した。

iシェアーズ米国不動産株ETF(ダウ米不動産)は、米国市場に上昇するREITおよび不動産株に投資するもので、「ダウ・ジョーンズ米国不動産指数」への連動を目指している。信託報酬は0.46%と低くはないものの、米国の市場の大きさや、非伝統的資産組み入れの観点から採用した。

上場インデックスファンド豪州リートは「S&P/ASX200 A-REIT指数」との連動を目指したETFで、信託報酬は0.45%と低くはないものの、非伝統的な資産の必要性と、その中でも比較的低リスクなREITという点から組み入れた。

S&P GSCI商品指数エネルギー&メタルは「S&P GSCI商品指数®エネルギー&メタル・キャップド・コンポーネント35/20 トータル・リターン指数」との連動を目指したものである。原油を始めとするエネルギーや、金などの貴金属および工業用金属を投資対象としている。コモディティの伝統的資産との相関の低さと、コモディティETFの中で最も低い信託報酬(0.30%)が選定の理由である。

最大のリスクは「アベノミクス第2弾」が大成功すること

さて、上記ポートフォリオ運用で考えられる最大のリスクは、アベノミクス第2弾が大成功し、日本の財政再建が加速度的に進んだときである。すなわち、日本の格付けが上がり、より安全な資産として円が猛烈に買われる展開である。

そうなると、日本株は急騰する可能性がでてくる。上記「自分ポートフォリオ」は日本株の組み入れ比率が低いうえ、円高が進むことで外国株、外国債券、海外REITが円建てで軒並み下落する危険性が濃厚となる。その際は、自分ポートフォリオの抜本的な見直しを迫られる。

具体的な「出口戦略」としては、日本株の組み入れ比率を大幅に増やすとともに、日本REITの新規組み入れで対応したい。まさかとは思うが、アベノミクスの動向には十分な注意を払い、ETFならではの機動性を活かし迅速に対応する考えだ。なお、円高が急速に進むと日本株も下落している可能性がある点にも留意したい。

加えて中期的なリスク要因としては、世界中(特に先進国)で金融緩和や量的金融緩和が行われていることで、通貨そのものへの信頼が揺らぐ可能性がある。その場合は、行き場を失った投資マネーが実物資産に流れ込む公算大となるため、REITおよび国際商品(コモディテイ)の比率引き上げで対処したい。(ポートフォリオマネージャー 澁澤龍)

※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。

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