自動車の購入は多くの人にっとって大きな買い物。できれば現金一括で購入したいものだが、難しい人も少なくないだろう。そこで、強い味方になるのが「マイカーローン」だ。ひとくちにマイカーローンといっても様々な選択肢があるので、その種類や特徴を理解したうえで、自分に合ったローン選びができるようにしよう。

マイカーローンの種類は3つ

マイカーローンとひとくちにいっても、様々な種類があり、マイカーローンは大きく分けて、ディーラーローン、残価設定ローン、金融機関のマイカーローンの3種類に分けられる。それぞれ順番に見ていこう。

(1) ディーラーローン
販売店で購入申込と同時にローンの契約を結ぶことができ、利用者も多い。

(2) 残価設定ローン
自動車購入の際、3〜5年後の残価(下取り価格)を設定し、その差額を支払うローンである。期間満了後は車を返却する、残価を支払って買い取る、残価の分をあらためてローンを組んで支払うという3つの方法から選択する。

(3) 金融機関のマイカーローン
銀行やJAなどの金融機関で扱う自動車購入用のローンである。一般的にはディーラーローンよりも金利が安い。

3つのマイカーローンのメリット・デメリット

では、この3種類のマイカーローンの特徴をみていこう。

ディーラーローンのメリットは、審査がゆるめで手間がかからないことである。金融機関のマイカーローンは自動車購入とローン手続きを別々に進める必要があるが、ディーラーローンは同時に話を進めることができる。また、審査のための必要書類が少なく結果が出るのも早い。さらに、特別な車種だけの販売促進キャンペーンで金利が2.9%から1.9%になることもある。事前に予告されることはなく突然発表されることが多いのだが(事前に告知するとその時まで購入を控えたり月間販売台数に偏りが生じたりするため)、タイミングが合えばメリットも大きい。デメリットとしては、一般的には金融機関のローンよりも金利が高いことが多い点だ。まずは他の金利としっかり比較することが大切だ。ローンの完済まで所有権はディーラーにあることも気をつけておきたい。

残価設定ローンは、借り入れ金額が全額ローンを組むより低くなる。つまり、借り入れ金額が低くなるため月々の支払額も安くなるのがメリットだ。また、金利がディーラーローンより低く設定されているケースも多い。ディーラーにとっても、設定期間が3年なら契約終了後、車検費用が必要になるタイミングで、新しいクルマへの乗り換えを提案しやすい。デメリットとしては、事故や修理履歴があったり、規定以上の走行距離、汚れやキズがあるとこの残価から精算され追加支払いが必要になる点だろう。また、期間終了時に想定していたよりも人気がなくなり流通価値が下がってしまった場合にも追加支払いが必要になるケースもある。残価設定ローンを組む時は、残価に保障があるのか確認するようにしたい。

金融機関のマイカーローンは、金利が安いことが最大のメリットである。一般的にディーラーローンは6〜9%、残価設定ローンでも1.9〜3.9%の金利が設定されているが、金融機関のマイカーローンは2.0〜2.9%程度と低い。また、固定金利のみならず変動金利を選択できるのも特徴だ。また、住宅ローンを併用すると金利が下がるケースもある。期間は10年など長期にわたる返済も可能である(ディーラーローンは7〜8年程度)。

マイカーローン選びのポイントは何か?

前述したように、様々なメリット・デメリットがあるマイカーローンだが、実際選ぶときはどのような基準で選んでいけば良いであろうか。

まず、判断基準として大切なのは「コスト意識を持つ」ことだ。ローンを組むための保証料が金利に含まれているケースと別途負担となるケースがあるので、確認が必要である。途中で繰り上げ返済ができれば金利が節約できるので積極的にしていきたいところだが、その際に手数料が必要なケースもある。様々なコストもチェックしておくことが大切である。

また、「審査基準」にも留意する必要がある。収入や年齢によって、借り入れ限度額や保証金の有無も異なる。年齢は20歳〜65歳未満を条件としていることが多く、完済時の年齢の上限を設定していることもある。他の借り入れも含めた年間返済額が年収の40%以内と条件が一般的なので、今後、学資や住宅ローンを検討する場合、借り入れ金額は年収をふまえて試算するようにしたい。

自動車そのものも高い買い物であるが、他にも、自動車税・自動車保険・ガソリン・車検・駐車場代など維持費がかかる。購入する際、ローン返済額以外の維持費も考慮し、しっかりと返済計画を立てることが大切だ。多少利率は高くても返済期間を長めにすれば月々の返済額は低くなる。他の支出とのバランスも考えてゆとりある返済計画を立てていきたい。

稲村優貴子 ファイナンシャルプランナー(CFPR)、心理カウンセラー
大手損害保険会社に事務職で入社後、お客様に直接会って人生にかかわるお金のサポートをする仕事がしたいとの想いから2002年にFP資格を取得し、独立。現在FP For You代表として相談・講演・執筆業務を行い、テレビ・新聞・雑誌などのメディアでも活躍中。 FP Cafe 登録FP

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