昨年末「2016年の最優先事項はFinTech(フィンテック)」というコメントとともに、90億ドル(約1兆51億円)の大型投資の継続を発表したJPモルガン・チェース法人投資部門のダニエル・ピントCEOは、ブロックチェーン・テクノロジーを決済などに応用することで、取引所要時間の短縮や銀行側に課せられるリスクの軽減を狙っている。

同社は過去数カ月にわたり、ブロックチェーン・テクノロジーを用いて顧客2200人によるロンドン、東京間の米ドル送金の試運転を実施中だが、年内の本格的なサービス開始も検討。ますます勢力を増すシリコンバレーの脅威に対抗する手段の1つとして、次世代ローン売買取引システムの開発など、複数のブロックチェーン・プロジェクトに取り組んでいる。

積極的な投資で投資家の不安を吹き飛ばす

年次投資家プレゼンテーションでは、同時進行中のそのほかのプロジェクトについても説明、ジェームズ・ダイモン会長兼CEOを含む幹部から、アプリケーション開発およびファイナンシャル・テクノロジー提携への資金引き上げなど、予算配分の見直しに関する報告が行われたと見られる。

ファイナンスとテクノロジーの融合により、大規模なシステム改革の対応に追われている大手金融機関だが、国際経済成長の減速に市場は混沌とした空気で満ちている。

昨年5月に報じられた大型人員整理に続き、今年2月11日には過去2年間で最安水準まで値下がりしたJPモルガン株を、ダイモン会長が自ら50万株(2660万ドル/約29億7068万円相当)購入して話題になるなど、顧客にとっては不安要素にこと欠かない状況だ。

しかし大手企業がコスト削減と顧客獲得の「最後の切り札」としてこぞって熱中しているFinTechの効果が、実際にポジティブな結果として反映されるには、少し時間を要するだろう。(ZUU online 編集部)

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