gold2

金(ゴールド)が軟調に推移しています。昨年暮れにかけて1オンス当たり1,200ドル程度にまで下がった金は今年3月にかけて1オンス当たり1,400ドルに迫るものの、直近では1オンスたり1,300ドル前半をうろうろしています。金相場の過去最高値は1オンス当たり1923.70ドルでした。最高値に比べれば約30%も下がっていることになります。株式相場の上昇及びインフレ率が低水準にとどまっていることから一部の投資家の間では価値の保存手段としての金(つまりインフレヘッジ手段としての金)に魅力が薄まってきているようです。

また、イエレン議長が量的緩和策を年内に終了させることと2015年初めには利上げを始める可能性を示したため、金価格が下落しているという見方もあります。なお、ゴールドマンサックスとソシエテ・ジェネラルは金価格が下落するという予想で動いています。アメリカ経済の回復が進むということが根拠となっているようです。

金の価格は他の資産との差で決まっています。安全資産としての性格が強い金ですが、利息が付かないために、利上げなどのニュースには価格が敏感に反応する性質もあります。また、年間の生産量にも注意をしておかなければなりません。世界で最も金を生産している国は中国です。2013年は438.2トンを生産しており、2位のオーストラリア(266.1トン)とは大差を付けています。生産が増えれば、需給の関係で価格は下がってきます。安全資産として買われるか、需給の関係で下がるか、などいろいろな要因が入り混じって金価格は決定します。

個人的には世界経済の回復が鮮明になれば、金価格は落ち着いてくるのではないかと考えています。なぜならば、利息や配当を産まない金よりも、金利が付く信頼のおける通貨や配当を産みだす株式の方が効率的に運用をすることができるからです。また、いわゆる都市鉱山での金発掘が効率的になってくれば、金の価値は大きく変わるかもしれません。但し、目先のウクライナ情勢など有事には注意を払っておく必要があります。

【関連記事】
株式トレンド転換の合図?〜金価格と株価の歴史的な逆相関〜