$ (ドル) や¥ (円) といった通貨記号は多くの人が目にしたことがあるだろう。しかし、世界には180以上の通貨があるといわれており、使われている通貨記号もさまざまだ。そこで、主要通貨の通貨記号に加えて、あまり目にすることがない珍しい通貨記号についても紹介しよう。

各国の通貨記号一覧

通貨記号,ユニーク,由来
(写真=COSPV_Shutterstock.com)

通貨記号とは、通貨の種類を一目で分かるように記号で表したものだ。その通貨が流通する国や地域によってさまざまな通貨記号がある。以下に、主な通貨の通貨記号を示した。なお、カッコ内には国際規格ISO4217で規定された通貨コード (アルファベット3文字) も記載した。

●$ (USD)
米国・ドルの通貨記号。「スペイン (メキシコ・ペソ) で使われていた記号が独立後のアメリカ合衆国でも使われるようになった」、「当時の通貨の主役だった銀 (silver) から取った」など由来には諸説ある。

●€ (EUR)
ヨーロッパ19ヵ国で使用されるユーロの通貨記号。ユーロの導入にあたって、1997年に欧州委員会が作成。

●£ (GBP)
イギリス・ポンドの通貨記号。古代ローマの通貨「リーブラ」 (libra) の頭文字から採られたとされる。

●A$ (AUD)
オーストラリア・ドルの通貨記号。オーストラリア (Australia) の頭文字とドルマークを組み合わせたもの。実は、元々イギリスの植民地だったオーストラリアは、1966年までイギリス・ポンドを使用していた。

●NZ$ (NZD)
ニュージーランド・ドルの通貨記号。ニュージーランド (New Zealand) の略称とドルマークを組み合わせたもの。アメリカ・ドルと紛らわしいとして「キウイ (kiwi) 」が提案されたこともあった。

●C$ (CAD)
カナダ・ドルの通貨記号。カナダ (Canada) の頭文字とドルマークを組み合わせたもの。カナダも以前はイギリスの植民地として、ポンドを導入していたが、アメリカとの交易が急増したため計算が合わせやすいカナダ・ドルへと変更された。

●HK$ (HKD)
香港・ドルの通貨記号。香港 (Hong Kong) の略称とドルマークを組み合わせたもの。世界で最も流通している通貨の一つで、1863年に香港で使用するための特別な補助通貨として発行を始めた。

●S$ (SGD)
シンガポール・ドルの通貨記号。シンガポール (Singapore) の頭文字とドルマークを組み合わせたもの。発行されたシンガポール・ドルは国民の信頼性を維持するためにシンガポールの外貨準備高によって裏付けられている。

●¥ (CNY)
中国・元 (人民元) の通貨記号。人民元の通貨コードは「CNY」で、これは「Chinese Yuan (中国元) 」の略。Yで始まるほか、発音も日本の円と似ており、記号には「¥」が当てはめられている。なお、正式には中国の国内で使われる「圓」という文字。

●R (ZAR)
南アフリカ・ランドの通貨記号。南アフリカのほとんどの金鉱床が発見され、ヨハネスブルグが建設された地名「Witwatersrand」に由来し、Rの文字がシンボルマークとなった。

●Mex$ (MXN)
メキシコ・ペソの通貨記号。スペインがメキシコのために鋳造した純銀の「8-real coins」に由来している。

●₺ (TRY)
トルコ・リラの通貨記号。2012年にトルコ政府より新たに発表された。船のイカリを半分にしたかたちをしており、「安全な港」の意味が込められている。

●₡ (CRC)
コスタリカ・コロンの通貨記号。シンボルマークであるCは、スペイン探検家Christopher Columbus (スペイン語でCristobal Colon) に由来している。

●₪ (ILS)
イスラエル・シュケルの通貨記号。イスラエルでは1969年に旧通貨から現在の新シュケルに移行され、通貨記号も合わせて変更された。

複数の国で使われる通貨記号も

米国・ドルの通貨記号である「$」は、オーストラリア、ニュージーランド、香港、シンガポール、メキシコ、バハマなど多くの国で使われている。米国の国内ではそのまま「$」が使われることが多く、他国通貨との区別が必要な際は上述のとおり頭にアルファベットを付けて「A$」「S$」などと表記される。

ドルと同じようにルピー (インド、パキスタンなど) やフラン (スイス、リヒテンシュタイン※など) 、ディナール (アルジェリア、イラク、クウェートなど) 、ペソ (メキシコ、アルゼンチンなど) も複数の国で使われている。

※リヒテンシュタインの通貨はスイス・フラン

通貨記号には国際規格で定められたものもある

コンピュータ上で文字を表現するための文字コードにはいくつかの種類がある。国際規格ISO4217や日本のJIS規格にも採用されている統一のコード体系として「Unicode」が代表的だ。Unicodeには、$や¥をはじめ、さまざまな通貨記号 (Currency Symbols) が盛り込まれている。Unicodeはアップデートされることもあり、2012年のUnicode6.2ではトルコ・リラの通貨記号が追加された。

ちなみに、世界には固有の通貨記号を持たない国も多いが、Unicodeに不特定な国の通貨を示す国際通貨記号として「¤」が用意されている。

世界にはまだまだいろいろな通貨がある

今回、さまざまな通貨記号を挙げたが、どのくらい目にしたことがあっただろうか。おそらく、見たこともない通貨記号もあったはずだ。記号の成り立ちについては、歴史に埋もれてあいまいになってしまったケースもあれば、最近になってデザインされたものもある。世界各国のユニークな通貨や通貨記号について、さらに掘り下げてみるのも面白いかもしれない。(提供:大和ネクスト銀行

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