海外
(画像=NH/Shutterstock.com)

いつもと違う国に旅行したいと考えている方もいるだろう。しかし行き慣れない国へ旅行する場合、物価水準や為替手数料など、お金周りの心配事は尽きない。そこで「行きたい旅行先5ヵ国の物価・為替手数料を比較」と題し、海外旅行先の人気ランキングでも上位に挙がる台湾・香港・トルコ・シンガポール・オーストラリアを取り上げ、それぞれの物価と両替の目安の金額を見ていく。

旅行先の国によっては食費が2倍になることも

当然ながら地域によって物価は大きく異なる。日本円で同じ金額でも、場所によって買えるものの量や質に違いが生まれる。例えば、物価が日本の半分の国では2倍の買い物ができ、物価が2倍の国では半分の買い物しかできない。

この差を数値で表したのが、英国の経済誌エコノミストが発表するビッグマック指数だ。ハンバーガーチェーンであるマクドナルドの商品、ビッグマックの現地価格を為替レートで調整した指数で、地域間の物価を比較するのに役立つ。2019年1月時点において、米国のビッグマック指数は日本円を100とすると155.2%となっており、日本ではビッグマックが3個買える金額で、米国では2個しか買えない計算になる。次の表は他の国のビッグマック指数を比較したものだ。

トルコ 55.5%
台湾 62.3%
香港 71.0%
日本 100.0%
シンガポール 118.9%
オーストラリア 121.0%

単純に計算すると、シンガポールやオーストラリアの物価はトルコの2倍以上ということになる。もちろん比較する商品やサービスによって日本円ベースでの価格は異なる。同じ日本国内でも、地域によって商品の価格や賃金に差があることからも想像できるだろう。重点的にお金をかけたいものが何かによって相対的な物価の高低は変わるが、現地における滞在費の参考としてほしい。

物価だけでなく、両替手数料率にも注意が必要

実際に現地で使えるお金の多寡には理論上の物価だけではなく、もう1つの要素が影響する。両替にかかる為替手数料だ。高ければその分、両替後の現地通貨は少なくなってしまう。

両替の方法は1つではない。現地の両替所や銀行、ホテル、日本国内の銀行、空港、FX会社など、さまざまなところで現地通貨に替えられる。どこで行うかによって手数料は大きく変わるので一概には言えないが、ここでは成田空港で営業するグリーンポート・エージェンシー社のレートにもとづいて計算した。

まず手数料の考え方について説明する。外国為替では、自国通貨を外貨に替えるレートと、外貨を自国通貨に替えるレートが異なり、その差額が実質的な往復分の手数料となる。

次は2019年5月24日時点の為替レートで計算した手数料率だ。片道分の手数料を、日本円を現地通貨に替えるレートで割ることによって求めた。

  円→外貨【A】 外貨→円【B】 片道手数料【C】
(A-B) ÷2
手数料率 (C÷A)
シンガポール ドル 84.41 74.75 4.830 5.7%
オーストラリア ドル 84.21 66.21 9.000 10.7%
台湾 ドル 3.9344 2.9844 0.475 12.1%
香港 ドル 16.32 11.66 2.330 14.3%
トルコ リラ 27.92 7.92 10.000 35.8%

(単位:円)

ビッグマック指数の順位とほぼ逆転している。特にトルコリラは手数料率の高さが目立つ。単純に物価だけで考えてしまうと、「思ったよりも贅沢できなかった」ということになりかねないので注意したい。

為替手数料と物価を考慮した「お得な旅行先」はどこ ?

では、物価と為替手数料を踏まえた観点からお得な旅行先はどこだろうか ? 上記で確認した物価を両替手数料で調整したのが次の表だ。手数料率を差し引いて手元に残る外貨の割合を、ビッグマック指数で割ることによって求めた。すなわち「日本でビッグマック1個を買えるお金を、成田空港で両替して現地に行ったとき、そこで同じ物を何個買えるか」を表している。1以上であれば日本よりも実質的な物価が低く、数値が高ければ高いほど「お得な旅行先」であるといえる。

  手数料率【A】 手数料控除後に手元に残る割合【B】
(100%-A)
ビッグマック指数【C】 実質的な物価の安さを表した数値
(B÷C)
台湾 12.1% 87.9% 62.3% 1.41
香港 14.3% 85.7% 71.0% 1.21
トルコ 35.8% 64.2% 55.5% 1.16
日本 0.0% 100.0% 100.0% 1.00
シンガポール 5.7% 94.3% 118.9% 0.79
オーストラリア 10.7% 89.3% 121.0% 0.74

台湾と香港、トルコは買い物が日本と比較して物価が低く、同じ金額でもお特感が味わえる国だと考えられる。特に台湾は日本からの距離も近く、移動にかかる旅費も抑えられるだろう。

実際に両替する金額を考えるにあたっては、現地での使い勝手も考慮したい。また慣れない海外においては多額の現金を持ち歩くのも安全性の観点から避けたい。事前にチャージができるプリペイドカードなどを使用するのが良いだろう。

何にお金をかけるか、どこで両替するか、さらには旅行に何を求めるかによって選ぶ国は変わるだろう。旅行の目的と照らし合わせたうえで参考にしてほしい。(提供:大和ネクスト銀行


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