電子マネーや電子決済サービス・ネット銀行・ネット証券など、デジタル資産の利用が増えている。しかし、その持ち主が亡くなった場合、これらのデジタル資産はどうなるのだろうか。今回は、デジタル資産を所有するにあたっての注意点などについて解説する。

デジタル資産とは

これからの相続トラブルに「デジタル資産」あり ? 注意点を解説
(画像=metamorworks / stock.adobe.com)

デジタル資産とは、ネットで管理している資産全般を指す。例えば、パソコンやスマートフォンなどにデータとして記録されている預金や株式・投資信託・FX・仮想通貨・プリペイド式電子マネー・電子決済サービスなどがデジタル資産に当てはまる。

一般的にデジタル資産は、通帳などの形のある記録や郵送による通知など金融機関等からのアクションがないため、本人しか詳細を知らないことがほとんどだ。そのため、持ち主が認知症になったり亡くなったりした場合、家族はIDやパスワードが分からずアクセスできなくなることがある。

デジタル資産の相続

誰かが亡くなった場合、配偶者や子どもなどの相続人は、亡くなった人の所有していた金銭に見積もることができる経済的価値のある全財産、つまり遺産額を把握する必要がある。この場合の全財産にはもちろんデジタル資産も含まれる。

遺産額から葬式費用や債務、非課税財産額などを差し引いた額が、遺産に係る基礎控除額になる。基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人の数で割り出すことができ、それを超えると相続税が発生する。

相続税が発生する場合、相続人は相続の開始 (死亡) があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に、相続税を算出して申告・納税しなければならない。

そして相続人は、相続税の算出と同時に、誰が何をどのくらい相続するのかを決める遺産分割協議を進めることが望ましい。遺言がない中での遺産分割協議はトラブルが多いものだ。

トラブルなく遺産分割協議がまとまったとしても、後からデジタル資産が出てきた場合、もう一度デジタル資産を含めて協議し直し、相続税を算出し直さなければならない。相続税の算出や遺産分割協議などでは、最初に遺産総額を把握することが重要だ。しかしながら、デジタル資産の存在を亡くなった本人しか知らない場合も多いことが一番の問題点といえるだろう。

普段の会話などから、デジタル資産を持っているであろうことを相続人が推測していても、どこの金融機関かが分からなかったり、前述のとおりIDやパスワードが分からなかったりすると情報の把握は困難だ。対策としては、利用しているデジタル資産の会社とID、パスワードをどこかにまとめて保存しておくことが挙げられる。

仮想通貨の相続

最近注目されているビットコインなどの仮想通貨は、決済法上、「代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができる財産的価値」と規定されている。つまり、亡くなった人が仮想通貨を所有していた場合には、仮想通貨も相続税の対象となるということだ。

仮想通貨の場合もほかのデジタル資産と同じように、情報をどこかに記録して相続人が分かるようにしておくことが重要だ。相続人は、亡くなった人が利用していた仮想通貨交換業者に依頼すると、相続開始 (死亡) 日現在の仮想通貨残高等が記載されている「残高証明書」を発行してもらえる。そうすると評価額が分かるため相続税の申告書の作成が容易になる。

資産の一覧作成を

いずれにしろ、デジタル資産を含めた自分の資産を一覧にまとめておくことが大切だ。久しく利用しておらず、残高がゼロだと思っている証券会社などについても、本当にゼロかどうか確認しよう。数円でも残っているのであれば相続財産となる。

また、使っていない口座はそのままにせずに解約することも重要だ。まだまだ現役だったとしても、予期せぬ不幸がいつ訪れるかは誰にも分からない。残された家族が困ることのないよう、IDやパスワードとともに一覧を作成しておこう。

(提供:大和ネクスト銀行


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