2020年、世界中を震撼させた新型コロナウイルス感染症。感染拡大を防止するため、各国は渡航制限やロックダウンなどの措置を導入し、文字通り人の動きが止まり経済活動は停滞した。落ち込む経済を下支えするため、欧米の中央銀行は量的緩和の拡大や長期継続を決定したほか、新興国の中央銀行は相次いで利下げに踏み切った。

これらの金融政策の措置の影響を受けたのが外貨MMF (マネー・マーケット・ファンド) で、繰り上げ償還が相次いだ。運用先を失った投資家は、資金をどのように活用するのが賢明なのだろうか。

相次ぐ外貨MMF償還

繰り上げ償還した「外貨MMF」の資金、金利を得るおすすめの活用先は?
(画像=aijiro / stock.adobe.com)

外貨MMFは投資信託の一つである。各国政府や企業が発行した国債や社債などの短期証券を運用対象とし、少額から投資できるとして活用している投資家も多い。

外貨MMFの主な収益は債券からの利息収入であるが、中央銀行による利下げを受けて、金利が低下し収益を確保するのが困難な状況に追い込まれている。

そうした中、一部の外貨MMFは繰り上げ償還の措置が取られた。

償還された資金の活用先は外貨預金がお勧め

ポートフォリオに外貨MMFを組み込んでいた投資家にとっては、繰り上げ償還は寝耳に水だったかもしれない。株式などと比較すると相対的に低リスクである外貨MMFは、リスク分散としても有効な運用先であり、突然の繰り上げ償還に投資戦略の練り直しを迫られることになったに違いない。

外貨MMFの繰り上げ償還で手元に戻ってきた外貨をどのように活用すれば、資産運用に役立てることができるだろうか。その1つの運用先としておすすめなのが外貨預金である。

●外貨預金のメリット

外貨預金は外貨MMFと混同されることもあるが、全く別の金融商品である。

債券で運用する投資信託である外貨MMFに対し、外貨預金は米ドルやユーロなど他国の通貨を保有することで、金利収入などを得る。外貨MMFは投資信託の一種であるため、管理報酬や監査費用などの手数料がかかるのに対し、外貨預金では不要だ。

また、外貨MMFに組み込まれている債券の発行主体である国や企業がデフォルトや倒産といった事態になると、金利の支払いおよび元本の償還がされず、元本割れとなるリスクが潜む。一方、外貨預金は、外貨建てでの元本は保証される。しかし、金融機関が破綻した際は、円建ての預金がペイオフとして1人の預金者に対し元本1,000万円とその利息が保護されるのに対し、外貨預金は預金保護の対象外となる点には注意が必要である。

繰り上げ償還された資金を日本円に両替するよりは、リスクを低く抑えたまま相対的に金利が高い外貨預金で運用した方が金利収入を当てにする投資スタイルに合致するだろう。

今後、新型コロナウイルスの状況が落ち着き、経済活動が徐々に再開されるにつれて景気が上向くと、各国の中央銀行が金利の引き上げ措置を実施する可能性もある。金利が引き上げられた通貨は為替市場で買われる傾向が高まり、その通貨に対し円安となれば、円に両替した際に為替益も期待できる。

●外貨預金乗り換え特典が付帯することも

償還された外貨MMFの資金を外貨預金で活用することを検討する際には、現在使用している金融機関以外での運用もチェックしたいところだ。金融機関の中には、他社で償還された外貨MMFの資金を新たに自社の外貨預金へ乗り換えて運用する場合、キャッシュバック等の特典を提供しているところもある。

円の定期預金の金利は依然として低く、目ぼしい投資先が限られる中では、こうした金融機関の乗り換えキャンペーンの特典も上手に活用したいところだ。そうすれば、不意の外貨MMFの繰り上げ償還もチャンスに変えることができるだろう。

償還された資金を有効に活用して資産運用

コロナ禍の影響による外貨MMFの償還で、これからの投資戦略が決まらず右往左往してしまった投資家が、保有する外貨を有効に活用するため、外貨預金という手段について取り上げてきた。 外貨預金運用の際には、償還した通貨のままで運用できる商品がないか、新規で外貨預金を利用する顧客に特典を提供している金融機関がないか等を調べ、償還された資金を有効に活用しながら資産運用を継続したいところである。

(提供:大和ネクスト銀行


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