「終活」という言葉がすっかり一般的になった。「自分もそろそろ終活を始めてみるか」と考えている人もいるのではないだろうか。

しかし、終活に対する正しい知識がないと良い結果にならないばかりか、「かえって家族に迷惑をかけてしまった」ということになりかねない。今回は、やってはいけない終活の失敗事例を確認し、終活への理解を深めていこう。

終活とは何か ?

やってはいけない「終活」失敗事例 その認識、間違っているかも ?
(画像=takasu / stock.adobe.com)

「終活」とは「人生の終わりのための活動」のことで、一般的には人生の最後を迎えるための準備を指す。一般社団法人終活カウンセラー協会は、「終活」を「人生の終焉を考えることを通じて自分を見つめ、今をより良く自分らしく生きる活動」と定義している。

終活の内容にもよるが、実施するメリットとしては、「自分の意思や気持ちを残された人に明確に伝えることができる」「残された家族の負担が減る」「今後の人生を見つめ直すきっかけになる」などが挙げられる。

終活の具体的な行動としては、「家族や友人への気持ちを文字に残す」「財産目録を作成する」「誰にいくら相続させるか決める」「遺言書を作成する」「連絡先リストを作る」「身の回りの整理をする」「希望する葬儀方法を決める」「介護施設・葬儀場・霊園などを決める」などが挙げられる。これらをエンディングノートに記しておくケースも多いようだ。

やってはいけない「終活の失敗」事例とは ?

終活は、正しく準備すれば自分の意思や重要な情報を正しく伝えることができ、いざというときの備えとして有用だ。しかし、中には失敗例もある。やってはいけない「終活の失敗」事例を見て、自分の終活に活かしてほしい。

●失敗事例1.エンディングノートと遺言書を同じ位置づけで考えている

自分の意思や重要な情報を記載したエンディングノートは残された家族にとって貴重な情報源だが、エンディングノートと遺言書を同じ位置づけで考えてはいけない。

遺言書には主に自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があり、それぞれに決められた様式がある。その様式を満たしていないと、法的拘束力を持たない。したがって、何の配慮もなく自由に記載したエンディングノートには法的拘束力はない。

理由があって、特定の人に財産を多く (少なく) 残したい場合もあるだろう。しかし法的拘束力がないと、その想いは結実しないおそれがある。エンディングノートは、自分の頭を整理するツールとしては優れているが、原則として法的拘束力がないことに注意してほしい。

●失敗事例2.デジタルを含めた重要情報の整理に漏れがある

身の回りの重要情報は意外と多い。銀行口座やクレジットカードの暗証番号はすぐに思いつくだろうが、意外と忘れている情報もあるものだ。特にデジタル回りは注意したい。

ログインIDやパスワードがわからないと、残された家族に迷惑をかけることもある。パソコン自体のパスワードをはじめ、金融機関のインターネット口座のログインIDやパスワード、さらにSNSのログインIDやパスワードもまとめておきたい。

●失敗事例3.不要な契約をしてしまう

終活をしていると、さまざまな「いざというとき」を想定することになるため、それに対応するサービスに加入することがある。必要なサービスに加入するのは問題ないが、終活を進めようと焦り、不要な契約をしてしまわないように注意してほしい。

例えば、医療費の負担が心配になり、急いで「日帰り入院保障」の保険に加入したとしよう。しかし、よく内容を見てみると給付金を受け取るには病院が発行する証明書が必要で、もらえる給付金と証明書発行料がほとんど同額だった、ということもあり得る。サービスに加入するときは、よく内容を確認するようにしよう。

●失敗事例4.エンディングノートの保管場所を家族に伝えていなかった

完璧なエンディングノートを作成できたとしても、それが、本人が旅立った後に残された家族の目に触れなければ、当然何も伝わらない。エンディングノートを作成したら、作成した事実とともに保管場所も家族に伝えておこう。

残りの人生をどう歩んでいくかを考えるきっかけにもなる

終活とは何か、やってはいけない「終活の失敗」事例について見てきた。終活は、正しく準備すれば自分の意思や重要な情報を正しく伝えることができ、故人・残された家族ともにしこりのない最後を迎えられるだろう。

「終活」という言葉には少しネガティブな印象があるかもしれないが、これまでの人生を振り返ることで、残りの人生をどう歩んでいくかを考えるきっかけにもなる。この機会に、終活について考えてみてはいかがだろうか。

(提供:大和ネクスト銀行


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