資産運用について考えるとき、考慮すべき指標のひとつに「インフレ率」があります。インフレ率は物価の上昇率を示す指標で、インフレが急速に進むと貨幣価値の下落が著しくなるため、より高い利回りを意識した資産運用が求められます。この記事では、このインフレ率について包括的に解説していきます。

インフレ率とは?

インフレ率とは?資産運用における重要な指標を解説
(画像=PIXTA)

インフレ率について解説する前に、まず「インフレ」について簡単に説明していきましょう。

インフレとは「インフレーション」を略した言葉で、モノやサービスの物価が持続的に上昇する経済現象のことを指します。なお、インフレの逆は「デフレーション(デフレ)」で、デフレは物価が持続的に下落する現象のことです。

「インフレ率」は物価の上昇度合いを表す指標で、前後1年間の消費者物価指数(CPI)を用いて算出されます。

日本のインフレ率は低水準で推移

国際通貨基金(IMF)によると、日本のインフレ率は2015~2019年にかけては、0.79%、−0.12%、0.47%、0.98%、0.48%とで推移しています。これはほかの主要国と比べるとかなり低い数字です。

物価がほとんど上昇しないと企業の売上が伸びず、企業業績の低迷から従業員の給料も上がりにくい状況になります。景気にも悪影響を及ぼします。こうしたことから、日銀は物価が安定した状態を「2%」と定めて金融緩和などを実施していますが、日本はインフレ率が2%を下回る状態が続いている状況です。

100%を超えることもある世界の国々のインフレ率

世界の国々では日本より段違いにインフレ率が高い国もあり、中には100%を超えているケースも少なくありません。

前出のIMFの調べによると、2019年にインフレ率が高かった国トップ5は、ベネズエラ(19,906%)、ジンバブエ(255.29%)、アルゼンチン(53.55%)、南スーダン(51.19%)、スーダン(50.99%)となっています。このような急激なインフレを巻き起こした要因は国によってさまざまですが、一般的には経済の失政や貨幣に対する信用が落ちることなどが引き金となるケースが多くみられます。

同調査によると、2019年の主要国のインフレ率はロシアが4.47%、中国が2.90%、米国が1.81%といった具合で、いずれも日本(0.48%)より高くなっています。ちなみにIMFの資料によれば、世界全体のインフレ率は2019年が3.6%で、2020年が3.0%、2021年は3.3%になる見通しです。

期待インフレ率にも要注目

ここまで説明してきたインフレ率は、過去の物価変動の「結果」を表す指標です。もちろんこうした指標も今後の傾向を分析する上で重要ですが、資産運用でどのくらいの利回りを目指すべきかを考えるのであれば、「期待インフレ率」にも着目したいところです。

期待インフレ率は、市場関係者などが予測する将来の予想インフレ率のことです。この予想値は、企業や一般家庭を対象としたアンケート調査などから算出されます。もちろん、必ずその通りになるとは限りませんが、将来の物価上昇の度合いを予想する際の参考になります。

消費傾向の分析を専門としている「ニッセイ基礎研究所」の資料によると、生鮮食品を除く消費者物価のインフレ率は2021年度から徐々に上がっていき、2027年度には1.8%程度になることが予想されています。今後10年間の平均は1.3%と推定されるとのことです。

インフレ率を考慮して資産運用をしよう

物価が上昇していくと、家計に与える影響が大きくなります。そのため、株式投資や投資信託などによる資産運用によって、将来使えるお金を増やしておくことが得策であるといえます。

今の日本では、長期的な資産運用のためにNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった制度が設けられています。運用額の上限はありますが、税制優遇などの魅力もあるため、この機会にこうした制度を通じて資産運用を始めるのもひとつの方法でしょう。(提供=auじぶん銀行)

執筆者:株式会社ZUU

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