中国投資の注目セクター・注目企業は?
(画像=Dilok/stock.adobe.com)

2023年3月13日、中国で第14期「全国人民代表大会」(全人代)第1回会議が閉幕した。今年の全人代では「政府活動報告」で内需拡大や産業の高度化、企業の発展促進など対内政策に重点が置かれ、経済成長目標は5%前後と発表された。

一方、習近平国家主席は台湾の独立に反対する意思を示して米国を牽制し、強硬姿勢を示した。今年の中国全人代の内容をサマリーにして紹介しよう。

目次

  1. 今年も全人代が閉幕
  2. 内需の拡大に注力
  3. 5%成長目標は「容易ではない」
  4. 米国の動きを牽制
  5. 前途は多難?

今年も全人代が閉幕

全人代は日本の国会に当たる機関で、2023年は3月5日から9日間の日程で開かれた。習近平国家主席は2022年、共産党のトップとして異例の3期目に入り、2023年の全人代では中国の国家主席としても初めて3期目に入った。

首相は李克強氏から李強氏に代わった。今後習国家主席は李新首相とともに、停滞した経済の立て直しやアメリカとの対立など多くの課題に取り組む。李強首相の他、丁薛祥筆頭副首相ら政府高官の人事も決めた。新体制は、習国家主席に忠実な側近を中心に「習派」一色となっている。

内需の拡大に注力

まずは、2023年の全人代を経済の面からまとめよう。10年間にわたって首相を務めた李克強氏が、今回最後の政府活動報告を行った。ジェトロ(日本貿易振興機構)のまとめによると、政府活動報告には8つのポイントがあったという。

いくつか抜粋すると、「内需拡大に力を入れる」「現代化産業システムの構築を加速する」「外資の誘致・利用に力を一層入れる」「経済・金融分野の重大リスクを効果的に防止・解消する」など。

中国は2022年に新型コロナウイルスの感染を完全に封じ込めようとする「ゼロコロナ政策」を実施したことで経済活動が停滞し、年経済成長率は3%にとどまった。もともとの目標値は「5.5%前後」だったため、下振れしたことになる。

5%成長目標は「容易ではない」

行き過ぎたゼロコロナ政策下では、徹底した行動制限によって市民に不満が溜まっただけでなく、生産工場が稼働できず、外国企業が生産拠点を中国国外へ移す一因にもなった。

そこで、中国政府は2022年12月からゼロコロナ政策に伴う行動制限を大幅に緩和した。2023年は、経済活動がさらに正常化に向かうとみられる。政府活動報告ではコロナ禍で傷んだ国内の経済を整え、消費の拡大を推し進める方針を示している。

コロナ前ならまだしも、ウィズコロナ時代の中国においては、全人代で示された「5%前後の成長」は決して容易に達成できる目標ではない。実際、李新首相は全人代で「5%前後の成長は容易ではなく、さらなる努力が必要」と述べている。

目標の達成に向け、李新首相は民間企業の支援などを進める意向を示し、海外からの投資を期待する考えも表明した。

米国の動きを牽制

習国家主席は2023年3月13日に全人代の閉幕に先立って演説し、「外部勢力の干渉と『台湾独立』分裂活動に断固反対する」と述べた。「米国」を名指しにはしなかったが、台湾への関与を強める米国を牽制する狙いがあったとみられる。

その上で習国家主席は「祖国の完全統一の実現は中華民族全体の共通の願いだ」と述べ、一方で「両岸(中台)関係の平和的発展を促進する」と強調。中台統一に向けた強い決意を改めて示す中、2024年1月の台湾総統選を見据えて武力行使には言及せず、台湾民意に配慮した格好だ。

これに対して米国のバイデン大統領は13日、中国の習国家主席と近く協議する意向を改めて示した。読売新聞によると電話会談を想定しているとみられ、中国の偵察用気球の米領空侵入や撃墜などによって対立が続く中、両首脳間の対話によって米中関係が過度に緊張することを避ける狙いがあるという。

バイデン大統領は訪問先のカリフォルニア州サンディエゴで、英国のスナク首相との会談の前に記者団から習国家主席と協議する予定があるかと問われて「イエス」と答えた。これに先立ち、ジェイク・サリバン国家安全保障担当大統領補佐官は記者団に対し、全人代が閉幕したことを受けて両首脳の協議に向けた日程調整を進める考えを示した。

前途は多難?

新型コロナウイルス蔓延の発端となった中国。感染拡大の初期には、中国が各国よりも早くコロナの封じ込めに成功し、国内の感染が終息したかのように映った時期があった。しかし、感染力が強いオミクロン株が出現して国内で感染が再拡大すると、強権的な政策が裏目に出て国民の不満が高まり、経済も停滞した。

前述のとおり、新習政権は要職を国家主席自身に近しい人間で固めて絶大な権力を握った。この強権的な姿勢への反感は根強く、仮に中国経済が目論見どおりに回復しない場合、さらに鬱憤が溜まる可能性もある。「異例」の3期目の船出は、前途洋々とはいかないようだ。

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